第6章-95 勇気のある者
ー次の日、裁判長室ー
サクとレイは裁判長室で共に書類整理をしていた。
「レイ様、こちら処理いたしました。」
「ありがとうございます。
次はこの資料の整理を……。」
レイが新たな書類をサクに渡そうとした時、部屋の扉が、静かに開かれた。
2人が驚いて扉に目をやると、頭に包帯を撒いたセキが立っていた。
「セキ様!?お戻りは来週の予定では……。」
レイがセキに駆け寄り、サクは椅子から立ち上がり頭を深く下げた。
セキはサクを一瞥すると、レイの顔を見た。
「治りが案外良くてな。
それよりレイ、そいつは誰だ?
なぜ、お前の椅子に座っている?」
「はい、この人は事務員の……。」
慌てるレイを見て、サクがセキの前に進み出た。
「セキ様、驚かしてしまい申し訳ございません。
事務員のサクと申します。
ここ数日、レイ様のお手伝いをさせていただいております。」
「そうか。それはご苦労だったな。」
セキは裁判長の椅子に座ると、サクに片手を出した。
「お前の処理した資料を全て見せろ。」
「かしこまりました。」
サクは処理した資料をセキに手渡した。
セキは目にも止まらぬ速さで書類を確認し、テーブルの端に寄せた。
「書き方に甘い部分はあるが、内容としては特に問題はなかった。上出来と言える。」
「ありがとうございます。更に精進いたします。」
サクは改めて深くお辞儀をした。
レイは少しほっとした顔をしている。
「サクといったな。
私は暫く通院しなければならない。
今後も許す限りレイを助けてやってくれ。
その期間、お前の給料をニ倍にする。」
「ありがとうございます。
ありがたく頂戴いたします。」
サクは背筋を伸ばし、セキに尋ねた。
「セキ様、もう1つお願いがございます。
個人的なことなのですが……。」
「構わない。話してみろ。」
「ありがとうございます。
ゼロユイと言う子供はご存知でしょうか?」
セキの眉がピクリと動いた。
「それがどうした?」
「いえ、ただ……あいつは俺の弟が保護した子供です。
俺にもあの子には情がありまして、少し柔らかい対応をしていただけないでしょうか。
セキ様を怖がっていたと風の噂で聞きました。」
静かに聞いていたセキは軽く笑った。
「風の噂……か。
サク、私は勇気のあるものは嫌いではない。
良いだろう。
お前が誰から聞いたかは知らないが、ゼロユイの対応を多少柔らかくしてやる。」
「我儘を聞いてくださりありがとうございます。」
レイはニ人のやり取りを眺めながら、持っていた資料を強く握りしめた。




