第5章-84 ガイの評価
僕はフクが入ったバッグを背負い、コウと共にセキとガイのいる病室へと向かった。
「コウさん、セキさんは頭を怪我してるんだよね?
しかも、ガイさんもいるって……本当に会って大丈夫かな?」
「ガイさんは怖そうに見えますが、けっこう情に厚いんですよ。」
「う……うん。」
まだ不安がとれない僕を見て、コウは優しく僕の頭を撫でた。
「大丈夫です。僕がいますからね。」
頷くと、コウは少し離れた病室を指差した。
「あそこが2人の病室です。
きっと驚くと思います。とても広いんですよ。」
コウは僕から手を離し、病室の扉をノックした。
「セキさん、ガイさん。
お客様をお連れしました。
お話ししてあげてくださいね。」
コウは静かに扉を開けた。
ガイはベッドに座ってお茶を飲んでいる。
視線がこちらに向いた。
「何故、お前さんが……コウ様、これはどういう事ですか?」
ガイはお茶をテーブルに置くと、ジロリと僕を見た。
反射的にコウの後ろに隠れる。
コウが笑いながら答えた。
「ガイさん、あまり睨まないであげてください。
この子は貴方の部下の命を救う手助けをしてくださったんですから。」
ガイはコウに視線を移した。
「私の部下を……助けた?」
「ええ、落石事故の負傷者の治療の際に、ボランティアとして参加してくださったんです。
血液パックを運び、血液型別に振り分け、道具の消毒など……。
研修生並みの仕事を完璧にやってくださいました。」
ガイは再び僕を見た。
先ほどとは違い、落ち着いた目をしている。
「思い出した。
確か、俺が担ぎ込まれた時に子供がいたな。
そうか、お前さんだったのか。
だが、あの時は日も落ちていたはずだ。
いくらボランティアといえども、何故帰らなかった?」
コウは少し困ったように笑った。
「僕のミスですよ。
把握していませんでした。」
僕は首をふった。
「違う、コウさんのせいじゃないよ。
僕は帰らなきゃいけなかったのに、言えなくて……勇気が無かったんだ。」
コウは俯くのをやめ、僕を見た。
ガイは頭をガリガリと掻きむしっている。
「お前さんを見ていると調子が狂う。
コウ様の助け舟を無碍にするとは……。
こんな時で無ければ、一発引っ叩きたいところだが、部下を助けてくれた事だけは礼を言う。」
ガイは僕に頭を下げた。
だが、すぐに上げ鼻を強く鳴らした。




