第5章-81 3つの手紙
僕は椅子に座り、テーブルの上にいるフクに、今日あった事を話していた。
「それでね、受付にサクさんがいたんだけど、子供じゃ家は借りられないって。
やっぱりお金が問題みたい。
働ける年齢まで卒業見送ったら?って、先生と同じこと言われちゃった。
うまくいかないね。」
フクが少し俯いて鳴いた。
「ホウッ」
「うん。でも僕は同じ授業を何年も受けて、フクとの時間を削られるのは嫌なんだ。
ねえ、フク。
僕、コウさんのお手伝いをたくさんして、お金を貯めようか悩んでるんだ。
そしたら家も借りられるかもしれないし……どう思う?」
「ギギー!!」
「わっ!落ち着いて。
怒らないで……あの日みたいに、遅くならないようにお願いしてみるから。」
フクはプイッと横を向いた。
「フク、それじゃあ、何を言いたいのか分からないよ。確かに悪かったけど。」
僕はため息をつき、話題を変えた。
「そういえば、さっき話したレイさん。
あの人の事をサクさんに話したら、
『任せとけ』って様子を見に行ってくれたんだ。
本当にサクさんは優しいよね。」
フクは翼を広げた。
「ピィッ!」
「やっぱりそうだよね。
フクにも合わせたかったな。
次は一緒に……。」
言葉を言い終わらないうちに、玄関がノックされた。
フクは寝室に一直線に飛んでいった。
僕は寝室の扉をそっと閉め、玄関へ向かった。
玄関を開けると、大きな紙袋を持った教員が立っていた。
「先生、どうしたの?」
「実はね、ゼロユイに荷物が2つ届いたんだ。
1つは病院からの封筒だが、もう1つは差出人がなくてね。
悪いが中身を先に見せてもらった。
マフラーと手紙が入ってたんだが、確認してくれるかい?」
教員から手紙を受け取り開いてみた。
思わず笑みが溢れる。
「これ、僕の友達だ。受け取るよ。」
「そうか、良かった。
それじゃあ、何かあればいつでも相談室においで。」
「ありがとう、先生。」
教員が去ったのを確認し、扉に鍵をかけた。
すぐにフクのいる寝室に向かった。
「フク、見て!
フィナさんから手紙とマフラーが届いたよ。」
フクとベッドに並んで座った。
ソワソワとしているフクに、ゆっくりと手紙を読み聞かせた。
⸻
ゼロユイとフクちゃんへ
フィナです。この間はありがとう。
ゼロユイは子供だから、学校に送れば届くと思ったの。
ちゃんと届いてますように。
ガーディに手紙を送ったら喜んでくれたよ。
だからお礼にマフラー作ったの。
フクちゃんにはポンチョを作ったよ。
それと、ごめんなさい。
フクちゃんからもらった羽、あのあと2人がいなくなった時、一緒に消えてしまったの。
だから、また遊びに来た時撫でさせてほしいな。
フクちゃんの羽、とっても優しい色だったから。
文章おかしかったら笑ってね。
フィナより
⸻
僕は手紙を閉じた。
「消えちゃったって……どうしてだろ。
フクは分かる?」
「ホウッ?」
「流石に分からないよね。……開けてみよっか。」
紙袋からマフラーをベッドの上に引き出した。
鮮やかな黄色のマフラーだった。
「綺麗な色だね。フクみたい。」
「ピィッ」
最後に、同じ色の小さなポンチョがポトリと布団に落ちた。
ポンポンがついた飾りがついている。
「フク、付けてみようよ。」
ポンチョをそっとフクに被せる。
フクは満足そうに目を細めた。
「僕も付けてみよう。」
マフラーを首に巻いてみた。
ポンチョと同じようなポンポン飾りがついていた。
かなり長いがとても温かい。
「お揃いだね。」
僕が笑うと、フクはマフラーの裾に包まるように入ってきた。
マフラーの内側から、嘴でポンポンを引っ張って遊んでいる。
「こら、フク。壊したらダメだよ。」
「ホッホウ!」
フクはポンポンを離すと、マフラーの内側へ入り込んでしまった。
「あ、そういえばまだ封筒があったんだ。」
封筒を開けると、コウからの手紙が入っていた。
「ねえ、フク。
コウさんから、話したい事があるから、病院に来てくれませんか……だって。」
マフラーにくるまっていたフクは、少し顔を出した。
折り畳まれた紙を加えている。
「それは何?」
フクから紙を受け取り開いてみる。
何か書かれていた。
「フィナを泣きやましてくれてありがとう。
私の家に勝手に出入りした事を許してあげる。
……これって……屋敷の主人?」
フクを見ると、マフラーの中にまた顔を隠してしまった。




