第5章-80 落石事故の犯人
ー裁判長室ー
サクとレイは書類を次々に処理していった。
レイの顔色は良くなっている。
書類の山はあっという間に薄くなった。
「サクさん、ここまでで大丈夫です。
本当にありがとうございます。
私1人では深夜までかかっていたと思います。」
「俺は簡単なものしかやってません。
それに、休憩までしっかり頂きました。
レイ様の方がすごいですよ。」
レイは照れた顔を隠すように、書類をまとめ始めた。
サクはその姿に軽く笑う。
「レイ様、顔が赤いですが、医務室から解熱剤をお持ちしましょうか?」
「だ……大丈夫です!!」
レイの顔が更に赤くなる。
サクは笑いを堪え切れず声を出して笑った。
「す……すみません、レイ様。
ハハっ、俺、上層部はもっとこう……プハッ……表情を見せてくれない人、ばかりかと……。」
レイはサクの笑いに唖然とした。
サクはひとしきり笑ったあと、ハッとした顔をして、背筋を正しレイに頭を下げた。
「数々の失言、たいへん申し訳ございません。
レイ様がとても話しやすく、甘えてしまいました。」
レイは暫く固まっていたが、顔を引き締めた。
「特に気にしてはいません。
改めて今日はありがとうございました。
宜しければ、また手伝っていただけますか?」
「こちらこそ、ありがとうございます。
もちろん、その時は喜んで。
そろそろ俺は失礼いたします。」
サクが部屋を出ようとすると、レイが呼び止めた。
「サクさん、待ってください。
あの子供は……部屋を借りられたのですか?」
サクは振り返った。
「流石にまだ無理です。
働ける年齢でも無いですし。
でも、ゼロユイは何とかしてしまう。
そんな気がしています。」
「そんなに、あの子は特別なのですか?」
「特別も何も……保護した初日に、数分教えただけで、新聞が何枚も読めるようになりました。」
「えっ?」
驚くレイの顔をサクは満足気に見ると、再びお辞儀をして裁判長室から出て行った。
サクと入れ違いに、警備隊の1人が部屋に頭を下げて入ってきた。
「レイ様、緊急のご報告がございます。」
「何ですか?お願いします。」
警備隊が報告書を読み上げる。
「本日、セキ様の命令にて、落石事故を起こした主犯、現場監督及び関係者を拘束いたしました。
尋問したところ、やはり地盤強度の調査を怠ったと白状いたしました。
いかがいたしましょう?」
レイはペンを強くにぎしめた。
だが、表情はできる限り平常を装った。
「分かりました。
報告ありがとうございます。
その者達の拘束を続け、指示を待っていてください。」
「承知いたしました。」
警備隊は頭を下げて部屋から出て行った。
「ガイさんや、セキ様をあんな目に合わせ人物。
いったい、どんな奴なんだ……。」
レイは棚から便箋を取り、病院のセキ宛に手紙を書き始めた。




