第5章-79 レイとサク
ー副裁判長/レイ視点ー
2人は並んで裁判所に向かった。
ゼロユイが話しかけてくる。
「やっぱり、顔色が悪いよ。病院に一緒に行こう?」
私は首を横に振った。
「私の事は大丈夫です。そろそろ着きますし。」
「そっか、それなら良いけど……。」
裁判所に到着した。
私は受付を指差した。
「家の申請ならあの受付です。
まだ家を借りるのは難しいと思うけど、相談だけなら誰でも出来ます。頑張って。」
「ありがとう。頑張るよ。」
ゼロユイはペコリと頭を下げ、受付へと走っていった。
小さな子供の背中が眩しく感じる。
「私も……頑張らないと。」
裁判長室へと向かう。
裁判長室へ入った途端、思わず机の上を見て足を止めた。
届けられた書類が山のように積み重なっていた。
「セキ様は、この量を……毎日?
私が監査に行ってる間に、これを全て?」
軽く目眩を覚え、倒れそうになった。
だが、自身の頬を両手で強く叩いた。
「大丈夫。1枚1枚は大したことない。」
1番上の書類を1枚手に取る。
どんどん読み進め、処理を始めた。
国家予算や教育・医療現場の報告書、事件・事故件数の増減――
ひたすらに確認し、微調整し、全てに判子を押していく。
「まだ、こんなに……。」
だんだんとスピードが落ちていく。
その間にも、部下達から書類が届いた。
思わず頭をおさえた。
「頭が……痛い。
でも、こんな姿……誰にも……。」
その時、扉から鈴の音が鳴り響いた。
扉の向こうから声がする。
「レイ様、サクと申します。
レイ様宛に荷物が届きました。」
レイは手を頭から離し平静を装った。
「どうぞ、入ってください。」
「失礼いたします。
こちらが届いたお荷物です。」
サクはお辞儀をして、パンパンに膨れた紙袋を渡してきた。
袋を開け中を確認した。
頭痛薬や、吐き気留めなどの薬、そして水や果物などが入っていた。
「これは……誰が?」
「ゼロユイという子供からです。
俺の可愛い2人目の弟みたいなやつですよ。」
サクは軽く笑い、レイに優雅にお辞儀をした。
「その2人目から頼まれました。
レイ様を助けてあげてほしいと。
宜しければ、何かお手伝いさせていただけませんか?」
「助かりますが、貴方の業務が……。」
レイが断ろうとした時、頭にズキンと痛みが走った。
「うっ……。」
「レイ様、大丈夫ですか?
医療班を呼んでまいります。」
咄嗟に、部屋から出て行こうとするサクの腕を掴んだ。
「待って……ください。
お願いします……助けて……手伝ってください。」
「かしこまりました。
ですが、レイ様。今は薬を飲んで少し休みましょう。
何か食べられそうなものはありますか?」
サクは袋から果物や薬などを取り出した。




