第5章-76 苦手分野
ー学校/補習ー
僕は教員に見守られながら、1人料理実習の補習を受けていた。
作った料理を教員に見せると、小さく拍手をされた。
「ゼロユイ、君は本当に努力家だ。
まさか、焦がさなくなるなんて……先生、嬉しいぞ。」
教員は感動している。
「……僕、本当に褒められてるのかな?」
「当たり前だ。初期を思い出してごらん。
肉も、鍋も黒焦げだったんだ。
今は食べられるくらいまでになった。
自信を持ちなさい。
食材はまだあるから、次こそ成功させるんだ。」
僕は少し焦げた料理の皿を布巾の上に置いた。
「料理作れなかったら、一生卒業できないの?」
教員は少し悩んだあと、僕の両肩をしっかりと掴んだ。
「君はまだ若い。生まれたてだ。
卒業ができるか心配する歳でもないだろ?」
「そっか……まだ難しいんだね。」
思わずため息をはいた。
「フク、ごめん……早く帰れないかも。」
僕は台に乗り、コンロの前に立った。
再び鍋を火にかけ、肉を焼き始めた。
教員が覗き込みながら質問をしてきた。
「ゼロユイ。前々から思っていたんだが、卒業を焦っていないか?
卒業資格自体は、君なら今年中に取れるだろう。
だが、そんなに早く卒業して何をするつもりなんだい?」
僕は火を弱めながら耳を傾けた。
教員は続けて話した。
「あと10年は働けないし、住む場所だって困るだろ。
学校に籍は置けるが、それも卒業資格をとってから1年までだ。
卒業は見送りにした方が良いと思うんだが……。」
僕は鍋を振りながら、野菜と調味料を加えた。
「僕は、早く卒業してたくさん時間を作りたいんだ。」
出来上がった料理を皿に盛り付け、教員に手渡した。
綺麗に焼き上がっていた。
教員は一口食べ、強くうなづいた。
「とても……いや、かなり塩辛だな。」
教員が戸惑うのを見て、深く頭を下げた。
「ごめんなさい。
先生の時間とってばかりで……。」
教員はニカッと笑った。
「そうか?今日、作った中で1番美味かった。
また付き合うから頑張ろう。」
そう言うと、教員は料理を全て平らげた。
「ご馳走様。
ほら、後片付けまでが授業だ。一緒に洗おう。」
「うん。」
僕は先生と一緒に皿や鍋を水につけた。




