第5章-74 石の雨
僕は布団の中で目を覚ました。
目の前にはTシャツに包まれたフクがいる。
「フク、おはよう。」
そう言うと、フクはパチリと目を開けた。
「フィナさんの手紙、とてもまっすぐで優しかったね。フクはどう思った?」
フクはTシャツから這い出ると、翼を大きく広げた。
「ピィッ!」
「やっぱりフクもそう思ったんだね。
あ、そろそろ準備しなきゃ……学校に行って来るね。」
フクは残念そうに翼を下ろした。
フクの頭を優しく撫でる。
「ごめんね。早く帰れるように頑張るよ。
もし、フクがあの鳥達のところに行くなら、僕は止めないから。
もちろん、帰って来てくれたら嬉しいよ。」
「ホウッ!」
フクは胸を張り、力強く鳴いた。
ーその頃ー
セキが警備隊達に担がれ、落石現場から運び出されていた。
「医療班、急げ!セキ様が頭に石の雨を浴びた!!
傷は浅そうだが、出血が酷い!!」
「かしこまりました。即止血を……。」
セキは医療班に手当をされながら、揺れる頭で必死に声を出した。
「止血より、現場監督を……今すぐ私の前に連れてこい!証拠を掴んだ!!
地盤強度を確認する印が、何処にも無かっ……くそっ!痛みが邪魔だ!!」
「セキ様、どうかお静かに。傷が開きます。」
「黙れ!調査隊、記録はとったか!?」
「記録はとっております。
セキ様、どうか落ち着いてください。」
医療班が止血を終え、セキを馬車に乗せた。
馬車がスピードを上げて走り出す。
セキは朦朧としながらも、意識だけは手放さないと歯を食いしばった。
頭から生温かい血が溢れているのを感じた。
「もう一度、止血を!!
セキ様、力を入れないでください。」
医療班が再度止血に入る。
セキは落石現場を思い出していた。
洞窟に入った時から変な違和感があった。
発掘現場は、地盤の強度を確認しながら掘り進めるはずだ。
だが、手前も奥も落石していた。
おかしい。
そう思ったセキは、地盤の確認が行われたか調査させた。
結果、本来あるべきはずの確認印が無かった。
明らかに手抜きをした証拠だった。
そのあと、現場を出る際に石の雨が降りかかってきた。
「証拠を掴んだ途端……この有様か。」
セキは拳を握りしめた。
「レイ……お前には、暫く耐えてもらわねばならんな……。」
馬車はコウの病院の前で停車した。




