第4章-66 足を飲み込む
ガーディにさよならを言い、部屋から出た。
コウの裾を引っ張る。
「コウさん、僕……。」
言葉がそれ以上出てこない。
俯いていると、コウが顔を覗き込んできた。
「大丈夫ですよ。
ガーディさんはまた抱っこしてくれます。
研磨が終わったら会いに来ましょう。」
「うん。」
コウは軽く手を叩いた。
「さあ、帰りましょうか。
人を探して来ますから、少し待っていてくださいね。」
そう言うと、コウは軽く僕の頭を撫でて、人を探しに行った。
少し疲労を感じ、壁にもたれかかった。
その時、近くの扉から話し声がするのが聞こえた。「ガーディ」という名前が聞こえ、気になって聞き耳を立てた。
「前々から思ってましたが、ガーディさんの体…本当にどうなっているのか、さっぱり分かりません。」
「本当にな。これだけ分析して探しているのに、似た金属すら見つからない。」
「この潰れた足、どうします?」
「研究用に欲しいが、普通の義足なら返却だからな……本人に聞いてみよう。」
ガチャリとドアノブが回る。
慌てて壁に貼りついた。
開かれたドアが僕の鼻に迫ってきたが、ギリギリ当たる事はなく、職人達は僕に気づかずに出て行った。
「危なかった。」
軽く息を整え、扉を開けた。
室内はガーディがいた部屋と同じ構造になっている。
中央の金属のテーブルには平たく潰れたガーディの足と、無数の破片が散らばっていた。
「こ……こんなに潰れたの?」
破片を触ってみる。
指が少し切れ、痛みの情報が頭に流れ込んできた。
「これが何か分かれば、ガーディさんは元に戻るのかな?」
破片を1つ手に取り口に入れた。
破片が口の中でスッと消える。
「…あれ?」
いつもなら消えたあと、成分などの情報が入ってくるはずなのに、今回は何も入ってこなかった。
「金属は、だめなのかな?」
ふと下を見ると、テーブルの隅に錆びた小さな釘が落ちているのに気がついた。
「これ、もらって良いよね。」
迷わずそれも口にした。
口の中で消え、鉄や錆などの情報が頭に流れ込んできた。
「だめじゃない。」
先ほどより大きなガーディの破片を、また1つつまみ上げた。
口に入れてみる…だが、やはり何もない。
「そんな……これじゃあ、助けられないよ。」
その場にへたり込む。
その様子を、扉の向こうからコウが静かに見ていた。




