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君といきたい ー不要品AIと小さなフクロウの旅ー  作者: yunimituki


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第4章-65 鎧の手触り

馬車は街から離れた森近くに停車した。


「ここからは歩きです。」


コウに手を引かれ真っ直ぐな道を歩く。


道の先に煙が上がっているのが見えた。


「コウさん、あれは?」


煙に指をさすと、コウは説明を始めた。


「今から行く場所です。

あそこは金属を加工している工場なんですよ。

剣や包丁、医療器具などの一部もあそこで作られているんです。」


「そんな場所に、ガーディさんが?」


「ええ、工場内は危険がたくさんありますから、僕の後をしっかりついて来てくださいね。」


工場の前に着くと、コウはドアの鈴を鳴らした。


ガラガラと低い音が鳴り、いかつい男が出て来た。


職人らしく、硬そうなツナギを着ている。


「お前達…なんの用だ?

ここは工場だ。販売所なら表に回ってくれ。」


男は扉を閉めようとしたが、コウは扉を押さえ、穏やかな声で話し始めた。


「僕たちは買い物に来たのではありません。

こちらにガーディさんという警備隊の方が来ていませんか?

僕は警備隊長のガイさんの友人です。

頼まれて様子を見に来ました。」


明らかに男の表情が変わった。


「ガイ隊長の友人?

そうか、追い返そうとして悪かったな。」


「いえ、気にしてません。

それと、こちらの子はガーディさんの友人です。

この子も一緒に宜しいですか?」


「分かった。着いてきな。」


職人はあっさりと通してくれた。

職人とコウの後ろについて歩きながら、工場の中を見る。


燃え盛る炎や、鉄を打つ音で熱気を帯びている。


職人が頑丈そうな部屋の前で立ち止まった。


「この部屋にいる。

終わったらその辺の従業員に声をかけてくれ。」


案内してくれた男は引き返していった。


「さあ、ご挨拶しましょうね。」


コウは重い扉を開けた。

室内は狭く、中央に大きな金属のテーブルがある。


壁には金槌やヤスリ、鋭い刃物などが一面にぶら下がっていた。


テーブルではガーディが金属の椅子に座り、後ろ向きで何か書き物をしている。


「ガーディさん!」


名前を呼ぶ。

ガーディが振り返った。


「…ゼロユイさんと、コウ様?何故ここに?」


振り返ったガーディの足にしがみついた。

だが、違和感に気づきすぐに手を離した。


「ガーディさん、これ……。」


抱きついた足は色が濃く、少しざらつきがある。


見上げれば、胴体部分に欠けもあった。


コウが笑顔でガーディに挨拶をした。


「こんにちは、ガーディさん。

療養中にすみません。医師のコウと申します。ガイさんに頼まれて様子を見に参りました。」


コウを見るなり、ガーディは深く頭を下げた。


「コウ様、あなたの事は裁判所の人達から聞いています。

職人達のおかげで修理は順調です。」


「それは何よりです。」


コウは僕の頭に軽く手を乗せた。


「今日はこの子と貴方を合わせたくて参りました。

とても仲が良いのでしょう?」


ガーディは頷き、僕をゆっくりと抱き上げた。


金属の体が頬にあたる。

ざらつく金属に、思わず眉をひそめた。


ガーディは僕の顔を見るなり、ハッとしたように慌てて床に下ろした。


「すみません。」


頭を下げるガーディに、首を必死に横にふった。


「違うよ。少しビックリしたんだ。

前と違ったから……あの、もう1回抱っこして。

僕、会えてすごく嬉しいんだ。」


ガーディに両手を広げて見せる。

だが、ガーディは深く頭を下げた。


「もっと研磨してからにさせてください。

今日は来てくれてありがとうございます。」


ガーディは、僕の頭を優しくポンポンと叩いた。


コウが口を開く。


「そういえば、ガーディさんは何を書かれていたのですか?手紙のようですが。」


ガーディは頷き、書きかけの手紙を見た。


「はい。恋人に手紙を……しばらく会えないので。まだまだ研磨が必要です。」


俯くガーディの横顔は、泣いているように見えた。

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