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君といきたい ー不要品AIと小さなフクロウの旅ー  作者: yunimituki


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第4章-52 血の香り

僕は馬車に揺られていた。


馬車にいるのは、僕と、コウと、白衣の男の3人だ。


「コウ先生、その子供はなんなのですか?」


白衣の男が僕を見る。

僕は隣に座るコウに体を寄せた。


「コウさん、やっぱり僕……降りるよ。」


「何も心配ありません。

僕の病院ですし、もうすぐ着きますからね。」


暫くして馬車が止まった。


「さあ、2人とも参りましょう。」


コウに続いて馬車を降りた。


とても大きな病院だった。

だが、感動する余裕もなく急ぎ足で中に入った。


院内では、医師や警備隊がバタバタと走り回っている。


「こちらの患者、足が破損しています!

今すぐ止血を!!」


「警備隊が新たな患者を連れて来ました。

意識がありません!!」


「誰か手はあいてないか!?

替えの包帯を持ってきてくれ!!」


血の匂いや、生々しい傷に思わず目を背ける。


「コウさん……。」


僕がコウを見ると、バッグを強く握り締めていた。


コウが声を張り上げた。


「皆さん動きがバラバラです!!

少し落ち着きなさい!!」


コウの声に全ての医師が止まった。

コウは音量を下げ、早口で話した。


「良いですか?

研修生は近くの町医者に声をかけ、協力を仰いでください。


軽度の患者は1番奥の病棟へ移動。

これは新人が担当しなさい。


輸血が必要な者は輸血パックがある病棟へ。


そして、重度の患者は入り口付近の病室に運びなさい。僕が診ます。


さあ、急いで!!」


コウが軽く手を鳴らした。


“パンッ“と軽い音が響き渡る。


医師達の動きが整い、先ほどよりもテキパキと動きはじめた。


コウは医師達を一通り見渡すと、僕に向き直り、穏やかに話した。


「ゼロユイさん。

思ったより状況が悪いようです。僕について来れますか?」


僕はベッドに寝かされている患者を見た。


足が押しつぶされている。


思わず目を瞑った。


それと同時に、コウの温かな手が頭にふれた。


「流石にこの現場はきついですね。

ここまで連れて来てしまいすみません。


この通路をまっすぐ行けば受付があります。


僕の名前を出して、馬車を呼んで帰宅してください。」


「……うん。」


「良い子ですね。

またお会いましょう。」


コウは僕の頭から手を離し、白衣の男と共に重症患者のいる病室に入っていった。


院内を走り回る医師達の邪魔をしないように、1人通路の隅を歩きながら受付へ向かった。


患者は次々と運び込まれている。


そんな時、女性の叫ぶような声が聞こえてきた。


「誰か!荷物を運ぶのを手伝って!!」


思わず声の方へ走った。


息を切らして到着すると、若い研修生が倉庫で1人必死に大量の箱を抱えていた。


「あ、あの……僕も手伝うよ。」


声をかけると、研修生は目を見開いた。


「子供?何で?えっと……どうしよう。

手伝ってくれたら嬉しいけど……でも。」


研修生は戸惑っている。


僕は必死に説得した。


「運ぶだけなら僕にも出来るよ。

お姉さんにしっかりついて行くから。」


「本当に?でも……ううん。

お願い。本当に人が足りなくて。

これ、持ってくれる?」


研修生から箱を一部受け取り、倉庫を一緒に出る。


箱は重いが、なんとか見失わないように、必死について歩いた。


1つの病室に辿り着いた。


「輸血パック持って来ました!

すみません。この子に手伝ってもらいました。」


医師達は僕の姿に驚いたが、直ぐに患者に意識を戻した。


研修生と一緒に箱から次々と輸血パックを取り出し、医師達に渡していった。


パックには血液型の記号が書かれている。


ふと、1人の患者に目が止まった。


患者が寝かされたベッドにも血液型の記号が書かれていたが、その患者に違う記号のパックがつけられようとしていた。


「待って!」


咄嗟にその患者の担当医の足にしがみついた。


驚いて振り払おうとする担当医に叫んだ。


「記号が違うよ!死んじゃうよ!

ダメだって本に書いてあったんだ!!」


担当医は僕の言葉に、血液パックとベッドの記号を見比べた。


さっと担当医の顔が青ざめる。


周囲の空気が凍りつく中、担当医は僕に両手を合わせた。

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