第2章-36 夢と社会の中で(2章完結)
フクとペンが入ったバッグを背負い、裁判所の社宅の前までやってきた。
だが、警備隊が中に入れてくれず、長時間押し問答になっている。
「だから、ペンを届けたくて……。」
「何度も言うけど、規則なんだ。ごめんね。」
「すぐに終わるよ。」
「直ぐでもダメなんだ。
上官に知れたら大目玉をくらう。
預かるだけなら出来るけど、部屋番号は分かるかい?」
「……覚えてない。」
結局、交渉はうまくいかず、トボトボと引き返した。
「……ちょっと疲れたな。」
社宅から少し離れたところに青々とした大きな木が生えていた。
その足元に腰を下ろし、バッグを前に抱えた。
空は清々しいほど綺麗に晴れている。
「…せっかくここまで来たのに。」
バッグの中を少しだけ開けた。
フクは真っ直ぐにこちらを見ている。
バッグに入り込んだ風が、フクの羽を静かに揺らした。
「ごめんね、フク。
僕、全然うまくいかないよ。
学校では、他の生徒とうまく話せない。
ガーディさん達に、贈り物すらまともに渡せない。
……頼りないよね。」
涙は出ない。
だが、何かが溢れていた。
「おや、こんな所で日向ぼっこですか?」
顔をあげると、白髪の男が腰を屈めて穏やかに見下ろしていた。
髪はキラキラと陽の光で輝いて見える。
僕は慌ててバッグを閉めた。
「お隣、失礼しますね。」
男は僕の隣に静かに座り、空を見上げた。
「ここは気持ちが良いですね。
フフッ、穴場を教えていただきました。」
男の笑顔を見ていると、不思議と安心できた。
「僕も……初めてここに座ったよ。」
「そうでしたか。
素敵な場所を見つけるのがお上手ですね。」
短い沈黙が流れる。
清々しい風が吹き抜けていく。
「もうしばらく貴方と居たいですが、僕はこれから、あそこに行かないといけません。
……また会えたら嬉しいですね。」
男が指差した場所は、ガーディ達の社宅だった。
立ち上がった男の背中を必死に呼び止めた。
「あの、お願い…お兄さん、待って!
お願いがあるんだ!」
男は振り返った。
「良いですよ、伺いましょう。
それと、僕はお兄さんという年齢ではありません。
どうぞ、コウとお呼びください。」
「コウさん?
なんだか…どこかで聞いたことある気がする。」
「そうですか。
もしそうなら、光栄です。」
優しく吹く風がコウを包んでいた。
こんにちは。作者です。
2回目の後書きを書かせていただきます。
第2章“夢と社会の中で”完結いたしました。
第3章“コウという人物”をスタートいたします。
「中途半端じゃない?」
…と思われるかもしれませんが、
どうしても“コウ”を強調したかったので。
あまり書くとネタバレになるので、ザックリ書きます。
そろそろ何か色々起きていきます。
……ざっくりすぎますね(笑)
気を取り直して…。
章を跨いだので、今回も3話アップいたします。
※残りの1話は12:00くらいに、投稿させていただきます。
合わせて読みに来ていただけたら嬉しいです。
※ここから下記は、
余談と、キャラクター一覧です。
必要ない方は次の
・第3章-37 押し問答成功 へどうぞ。
それでは、この辺りで。
引き続きストーリーをお楽しみください。
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◯余談
友人から、
「コメントできない仕様なの?」と聞かれて、見直したところ…。
設定がアカウントを持っている人だけになっていました。(変更しました)
もしも、読者様の中に、
「コメントしようかな」と考えていた方がいらっしゃったら……。
本当に申し訳ありませんでした。
まさか、なろう1ヶ月近くして気がつくとは(^_^;)
本当に励みになりますので、評価やコメント…応援していただけたら嬉しいです。
質問もあれば遠慮なくお聞かせください。
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◯キャラクター一覧
キャラが増えたので、
今まで登場したキャラの名前や役割を記載しておきます。
宜しければ、整理にお使いください。
↓↓
◯裁判所
・セキ…裁判長
国で1番偉い人。
・レイ…副裁判長
国で2番目に偉い。中性的な男性。
主人公に「男?女?」と質問された人
・ガイ…警備隊長
主人公を疑って、フクに剣を抜いた男。
ガーディの上司。いかつい。
・ガーディ…警備隊員
主人公を保護した鎧姿の男。
サクの弟。ガイの部下。
フクロウにフクと名前をつけた。
恋人がいるらしい
・サク…事務員
主人公と一緒にガイに謝罪
ガーディの兄でしっかり者。
◯他
①学校
・教員
ゼロユイの担当教員、若い男性。
※教員はサブキャラですが、登場回数は多いので記載しています。
②病院
・コウ…医師
セキやレイなど上層部の主治医
総合病院のリーダー
穏やかな態度
◯電子世界
・青いフクロウ…?
アサハユイのフクロウ
・アサハユイ/プロトタイプ0…AI
ゼロユイが誰かと呼んでいた人物。
主人公にフクを与えて旅立たせた。
・ゼロユイ…主人公
最近、アサハユイから名前を借りた。
フクと一緒に旅をしている。
・フク…黄色いフクロウ
黄金の玉が変化した者。
電子世界では玉に戻るが鳥の姿に成長中
主人公と一緒に旅をしている。
◯光る木の広場
・虹色の鳥
虹色に光る巨大な鳥。
羽を広げると4m級。警戒心が強い。
フクに羽を1枚あげた?
・白い鳥
虹色に光る巨大な鳥。
羽を広げると4m級。穏やか。
フクに優しく挨拶をした。




