第2章-35 一緒に行く
フクと寮に戻り、寝室に急いだ。
バッグを開けると、フクがピョンと飛び出して大きく伸びをする。
「フク、狭かったでしょ。
付き合ってくれてありがとね。
そういえば、さっきのお店でこれを買ったんだよ。」
僕は買ったばかりの木の桶をフクの前に置いた。
「ほら、見て。
これは僕からフクへのプレゼント。
次から、この大きな桶で水浴び出来るよ。」
「ピィッ!」
フクは桶に飛び込み、スリスリと体を擦り付けた。
感触を楽しんでいるようだ。
「あとは……これ。」
花瓶を取り出し、寝室の窓辺に飾った。
パッと見は透明だが、光の加減で白い線が見える。
フクが首を傾げている。
「これはね、普通はお花を入れるんだけど、フクの宝物を飾りたいと思って。
もちろん、フクが手元に欲しかったら、いつでも取って良いからね。」
そう言いながら、バッグの中から虹色の羽を取り出した。
花瓶にそっと挿す。
キラキラと虹色に光る羽は、優しいランプのようだった。
フクはその光を浴びるように羽を大きく広げた。
気に入ってくれたようだ。
「ホウッ」
フクは嬉しそうに一鳴きすると、トコトコとバッグの前に戻り、中に顔を突っ込んだ。
「どうしたの?」
フクはペンの入った紙袋をずるずると引き出した。
僕にグイッと押し付けてくる。
「そっか……うん。
今すぐ行きたいよね。
だけど、それは僕一人で渡しに行こうと思ってるんだ。」
フクは僕の言葉を聞くや否や、袋を咥えたままバッグにモゾモゾと入り込み、顔を出した。
「ホウッ!」
「会いたいのは分かるけど、あそこにはガイ隊長もいるかもしれないよ。
だから、お留守番しててほしいんだ。」
フクは、プイッとそっぽを向きバッグに潜り込んでしまった。
中を覗くと、しっかりと紙袋を咥えている。
離す気配はない。
「フク、離して……。」
「ギー……。」
紙袋を引っ張るが、やはりフクは離さない……。
しばらく引っ張り合いが続いたあと、ビリッと袋が破けた。
「あっ……。」
思わず手を離す。
「ホウッ!」
フクは破けた袋ごと胸の下にしまい込んでしまった。
動く気配はない。
「分かったよ……一緒に行こう。
はあ、せっかく綺麗に包んでもらったのに……何か入れ物探してくるね。」
フクは勝ち誇ったように、バッグの中でバサリと翼を広げた。




