表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君といきたい ー不要品AIと小さなフクロウの旅ー  作者: yunimituki


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/68

第2章-34 全ての贈り物

僕はペンケースの中身をすべて抜き、学校から支給されたお金を詰めた。


ポケットに入れ、バッグにはTシャツを入れる。


「フク、行こう。」


フクは虹色の羽をくわえ、素直にバッグの中へ飛び込んできた。


街へ行くと以前と変わらず活気に溢れていた。


羽ペンを売る雑貨屋を足早に通り過ぎ、他の雑貨屋へと向かう。


店内は人が少なく、ゆったりと見れた。


「何がいいかな……。」


バッグを前に抱え歩く。

バッグの隙間からフクがじっと商品を見ている。


「フク、気になったものある?」


僕がペン売り場にたどり着いた時、フクがトントンとバッグを蹴った。


「ペンが良いの?」


フクは再びバッグを蹴る。


「そうだよね。

ガーディさんは手紙を書くし、サクさんは事務員だから、ちょうど良いかも。」


僕は並んだペンを見た。

だが、どれを選んで良いか分からない。


「ど……どうしよう。」


その時、上品な年配の女性店員が声をかけてきた。


「あら、可愛いお客さんね。

何か気に入ったものはあるかしら?」


外を覗いていたフクがバッグにスポンっと入る。


僕はバッグのチャックを閉めた。


「あの、実はプレゼントを買いたくて。」


「プレゼント探しなんて、とても素敵ね。

相手はどんな方なの?」


「二人いて、一人は体が大きくて警備隊員で、もう一人は事務員で……。」


僕は出来る限り、二人の事を話した。

店員は笑顔で僕の話を聞くと、いくつかおすすめを教えてくれた。


「ありがとう。

僕、この中から選んでみるよ。」


「分かったわ。決まったら教えてね。」


店員はレジへと向かっていった。


チャックを開けると、フクが再び顔を覗かせた。


「フク、僕これとこれが気に入ったんだけど、どうかな?」


僕は上品な細いシャンパンゴールドのペンと、丈夫そうなシルバーのペンを一本ずつ手に取った。


「ゴールドはサクさん。

サクさんは指が細いから使いやすそうでしょ。


シルバーはガーディさん。

かなり丈夫そうだし、太いから握りやすいかなって。」


フクはペンを見た後、再びバッグに顔を隠した。

バッグ越しにスリスリと、僕の胸のあたりに頬をすり寄せてきた。


「決まりだね。」


ペンを二本レジに置く。

先ほどの店員が丁寧に包んでくれた。


「はい。お待たせ。

プレゼント用の袋にしといたわよ。」


「ありがとう。」


お釣りと商品を受け取る。

僕はすぐに硬貨を1枚レジに置いた。


店員が不思議そうな顔をした。


「ん?どうしたの?」


「おつり、一枚多かったから。」


「あら……私ったら。

ちゃんと分かるなんて、すごいわね。」


「計算は得意なんだ。」


僕は少し嬉しくなって笑った。



店員に見送られ、次の店へ向かった。


陶器や木で出来た製品がずらりと並んでいる。


フクはバッグから覗いているが、よく分からなそうにキョロキョロと見回している。


「フク、ここは僕の買い物だから休んでていいよ。

ペン、持っててくれる?」


フクはペンが入った紙袋を受け取ると、バッグの中に収まった。


チャックを閉める。

僕は商品棚から、細身の透明な花瓶と、大きな木製の器を手に取った。


「これにしよう。」


2つの品をレジに置いた。


「お願いします。」


店員は一瞬僕を見て、怪しむような目を向けた。


「……子供が一人で?金は持ってるのか?」


お金を出そうとしたが、硬貨が一枚足りなかった。


「あの……。

足りないから、一つだけにするよ……。」


どちらか下げようとした時、店員は眉間に皺を寄せた。


「まったく。

計算もできないガキは大変だな。」


「ご……ごめんなさい。」


店員の冷たい声に、縮こまる。

その時、後ろから誰かが割り込んできた。


銀髪の男だった。


「いやいや、店員さん。

計算できるから足りないって分かるんでしょ?

頭、沸騰しちゃってません?」


軽い口調に、店員が眉をひそめる。


「おい、喧嘩売ってるのか?」


「喧嘩なんて、そんな楽し……怖いことできませんって。

ま、首突っ込んだお詫びに、足りない一枚、私が出しますよ。」


銀髪の男はそう言って、硬貨をレジに置いた。

突然の出来事に狼狽える。


「あ……あの、悪いよ。お兄さん。」


「いいっていいって。

子供は気にしちゃダメですって。

それに、私の主人はバリバリの金持ちなんで大丈夫!」


「ま、待って……それって使って良いの!?」


「別に良いでしょ。

どうせ寝てばっかりなんだから。


じゃ、馬を待たせてるんで、私はこの辺で。

あ、私こう見えて御者なんですよね。


いや〜、いいことしちゃったな。」


銀髪の御者は、やけに上機嫌なまま店を出ていった。


店員は不機嫌そうに商品を包み、無言で渡してきた。


「あ、ありがとう。」


店から離れて筆箱を開いた。


「……お金、なくなっちゃった。」


腕の中の包みを見る。


小さく息をついた。


「だけど、ちゃんと揃った。

フク、そろそろ学校に戻るよ。」


フクが軽く蹴るのを感じる。


そのまま、真っ直ぐ学校の寮へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ