第1章-2 虹の鳥・白の鳥
目を開けると、目の前で柔らかな草が風に揺れていた。
ざらりとした土の感触がする。
「……ここは?」
ゆっくりと体を起こし、上を見た。
光の線はどこにもない。
真っ暗な空が広がっていた。
目の前には巨大な樹がそびえ立っている。
その葉は七色に輝き、静かに揺れていた。
まるで世界そのものが呼吸しているようだった。
「……これ……木……?」
思わず見惚れる。
その時、近くに落ちていたバッグが、もぞりと動いた。
「え……?」
中から黄金の玉がふわりと浮かび上がる。
空中でくるくると回転すると、小さな黄色いフクロウへと姿を変えた。
「フクロウ……?」
フクロウは木の上をじっと見つめた。
視線を追うが、木の枝や葉があるばかりだ。
僕はフクロウへ視線を戻した。
「ねえ、何かあるの? 君は誰?」
そう言った瞬間、強い突風が頭上から吹きつけた。
「うわっ!」
思わず目をつむった。
だが、すぐに風はやんだ。
そっと目を開ける。
太い枝に、虹色の光をまとった鳥がいる。
別の枝には白く輝く鳥もいた。
どちらも、翼を広げれば四メートルはありそうだ。
虹色の鳥は、木の枝から鋭い目でこちらを見ていた。
明らかに警戒している。
フクロウは身を縮めながらも、逃げなかった。
じっと見返している。
やがて白い鳥が羽ばたき、枝からゆっくりと降りてくる。
白い鳥の目は穏やかだった。
「キイッ」
透き通る声。
フクロウも応える。
「ホウッ」
しばらくの静寂。
やがて白い鳥は羽を広げ、木の上へと飛び去っていった。
虹色の鳥も白い鳥を追い、飛び立っていった。
その時、
ひらり――
虹色の羽が1枚、舞い落ちてきた。
「ピィッ!」
フクロウが嬉しそうに鳴いた。
虹色の羽を咥え、バッグの中へ飛び込んだ。
「……フクロウ、さん?」
そっと覗き込む。
フクロウは羽を咥えたまま、こちらを見つめていた。
手を差し入れると、
甘えるように頬をすり寄せてくる。
その柔らかさが、混乱した心を静かに落ち着かせた。




