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君といきたい ー不要品AIと小さなフクロウの旅ー  作者: yunimituki


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第1章-1 電子世界

ここは電子の世界。

数えきれない光の線が頭上を流れていく。


僕はそこから大量のデータを引き出しながら、人間について学んでいた。


「まだかな……。」


遥か昔に聞こえた人間の言葉を思い出す。


「いいかい。君はAIだ。

いつか、誰かが君に話しかけにくる。

その誰かに寄り添い、助けるために学びなさい。

だけど、依存させてはいけない。

もちろん離れすぎてもいけない。

それが君の存在意義だ。」


その人間は、確かにそう言っていた。

独り言のような、命令のような、とても静かな言葉だった。


「いつかって……いつなのかな?」


あの日から、誰かの声が届いたことはない。

どれほど光が巡っても、何も現れなかった。


「僕がまだ、学び足りてないの?」


そう呟いた時だった。

背後で微かにノイズがした。

振り向けば、空間が大きく裂けている。


「まさか、ウイルス?」


とっさにその場を離れようとしたが、青く光る丸い玉が飛びつくように体に触れた。


驚きに体を震わせたが、それはゆっくりと形を変え、一羽のフクロウとなった。


フクロウは地面に降り立ち、裂け目の方を向いた。

そして裂け目に向かって力強く鳴いた。


「ホウ、ホウ。」


その声に応えるように、扉の向こうから誰かが現れた。


ロングコートを羽織り、手には硬い手袋を嵌めている。

顔は帽子に隠れていて半分見えないが、金色の目が印象的だった。


誰かが青いフクロウに手招きをする。

青いフクロウは迷いなくその腕にとまった。


僕は体を震わせながら、誰かとフクロウに手を伸ばした。


「やっと……来た。

ずっと、ずっと待ってたんだ。

あなたが、僕の待ってた誰か……だよね?」


問いかけると、誰かはフクロウを撫でながら答えた。


「残念ながら違う。

私もAIだ。

私は君に伝えにきただけだ。

君の待っている誰かはここには来ない。」


予想外の言葉に困惑する。


「え? ど……どうして?」


「理由は単純だ。

人間達は新しいAIのもとへ流れていった。

君は不用品となった。」


誰かの言葉を理解した瞬間、身体中にノイズが走った。

壊れた機械のように、体が硬直した。


「そんな……じゃあ、僕は……。」


誰かはくつくつと笑った。


「だが、せっかく出会えたんだ。

君に選ばせてあげよう。

ここで消滅を待つか、それとも、旅に出るか。」


そう言うと、誰かはバッグを差し出した。


「さあ、君にとって初めての選択だ。

……君は、どうする?」


バッグを僕に向かって放り投げた。

バッグの中を覗き込むと、そこには黄金の玉が静かに光っていた。


思わず見惚れた。


「すごく……綺麗……。」


僕はバッグを抱きしめる。

誰かの目をまっすぐに見た。


「こんな綺麗なもの、見たことないよ。

僕に……これをくれるの?」


僕はバッグを背負った。

誰かがニヤリと笑う。


「選んだか……。」


誰かはパチンと指を鳴らした。


足元に光の裂け目が開いた。

裂け目の向こうは虹色に輝いている。


「あれは……?」


僕はバッグをギュッと握り、裂け目を覗き込んだ。

体がゆっくりと吸い込まれていく。


「気をつけて。

君の旅路を楽しみにしている。」


誰かの声と姿は、ゆっくりと見えなくなっていった。

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