第1章-12 着替え
フクロウが椅子から見守る中、サクに手伝ってもらいながら、次々と服を身につけていった。
服は、少しゆるっとしたズボンや、長袖のTシャツ、そしてパーカーだった。
体に布がまとわりつくような、守られているような、不思議な感覚に包まれた。
「少し大きいが大丈夫そうだ。
あとは靴と靴下か……確か別の袋に……。」
「ねえ、サクさん。
サクさんは親を覚えているの?」
サクは靴下を取り出しながら答える。
「あまり覚えてない。
親は裁判所に子供を連れて手続きするまでが役割だから、あまり関わらない。
ガーディははっきり覚えているみたいだが。」
サクから靴下を渡される。
履いてみたが強く締め付けられ、足を拘束されたように重く感じた。
「これ……好きじゃない。」
「そうか。こっちはどうだ?」
サクは僕の表情が曇るのを見て、別の靴下を手渡してきた。
今度はスルリと足が入る。
先ほどより足が軽い気がした。
「ありがとう。」
サクは僕の脱いだ靴下を片付けた。
「礼には及ばない。
学校は子供を育てる施設だから、子供服なんて頼めばいくらでもある。
ところで裁判所への手続きだが……。」
サクが言い終わらないうちに、玄関がガチャリと開いた。
紙袋を持ったガーディだった。
「あ、ガーディさんだ。お帰りなさい。」
声をかけるが、ガーディはまったく動かない。
サクが不思議そうに立ち上がる。
「ガーディ、どうした? 出勤間に合うのか?」
サクがガーディに手を伸ばそうとした時、ガーディがガシャリと音を立てて動いた。
「ガイ隊長に……社宅の近くで会い、説教されて……お弁当が冷めてしまいました。」
それだけ言って、またガーディは動きを止めた。
サクを見ると、我慢できないといった顔で、肩を震わせながら笑いを抑えていた。
「ガーディ……お前は……本当に……。
ハハッ、腕っぷしはガイ隊長よりも強いはずなのに、なんでそんなに儚げなんだ……。」
無言になるガーディの頭の上に、フクロウがバサバサと飛び乗った。
「ピィッ」
翼を広げ、悲しそうに静かに鳴いた。




