君の威を借る僕
相談部はしばらく休部にする。
部長からそう言われたにも関わらず、俺は放課後に部室を開けて、一人で活動を行っていた。
活動を始めて一時間くらいが経ったけど、西宮さんも、東海林さんも、そして南雲さんも、誰一人として部室に来る気配がなかった。
「……何してんだろ、俺」
ボソッと呟いた言葉は、物音一つしない部室に響き渡り、そしてすぐに消えていった。
いつもなら誰かしらがすぐに返してくれるのに。
いつもは、もっともっと騒がしいのに。
俺以外誰もいない。
何を話しても、何も返ってこない。
何をしても、誰も見てくれない。
もしかして、今までの出来事は全部夢だったのではないか?
強い孤独が、失礼なことを考え始める。
でも、誰も否定してくれない。
だから俺は、受け入れようとしてしまう。
俺は、とっても弱い人間だ。
とっても情けない人間だ。
何かをもらってばかりで、助けられてばっかりで。
そのくせ自分は何もせず、ただ黙って見ているだけ。
怖いからとそっぽむいて、自分には無理だと言い訳をして、納得して、安心して、これでいいんだと決めつけて、その場で立ち止まって……その、繰り返し。
何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も──ずっとずっと、その繰り返し。
成長した気になってた。
歩けてる気がしていた。
でもそれは、南雲さんにただ引っ張ってもらってただけ。
南雲さんに連れていってもらってただけ。
俺の力じゃない。
俺はただ、他人の力を自分の力だと勘違いして、調子に乗ってただけなんだ。
大きくなった気になってただけなんだ。
本当はこんなに小さいのに。
小さい男なのに。
「……なに……やってんだろ……?」
彼女がいなければ、なにもできない。
今まで頑張れてたのは、俺が何をしても彼女が助けてくれるからという、甘えがあったから。
西宮さんの時だって、結局彼女が助けてくれた。
東海林さんの時だって、俺がミスしても彼女がなんとかしてくれるって甘えがあったから。
南雲さんを助けたい。
手を差し伸べたい。
でも、もう彼女は俺のそばにいない。
失敗したって、助けてくれない。
今まであった彼女の助けは、もうない。
もう、ないんだ。
「……ごめん……ごめん、南雲さん……! やっぱ俺じゃ無理だ……無理だよ……! 俺なんかじゃさ……俺みたいなやつには……俺には……無理、だよ……!」
情けなく一人、ボロボロ涙をこぼす。
止まる気配を見せることなく、ボロボロボロボロ。
止め方がわからない。
いつもいつも、誰かに拭ってもらってたから。
でも、その人はもういない。
どこを見回しても、いないんだ。
助けを求めて伸ばしていた彼女の手を……俺は、掴むことができなかったから。




