第165話 女ターミネーターは実は出来た人間だった
「何ふざけたことを言ってるんですか!知ってたんでしょ!あの人が必ず茜さんを頼ってうちに来ることになるって!その時は必ず僕を自分のものにすると宣言してそれが上手くいかないとミニガンで僕をミンチにするって!」
あまりに面白がっている嵯峨の態度に腹を立てて誠はそう叫んだ。
「食事中にそんな大きい声を出すもんじゃないよ。まあ、知ってた。茜と祥子はちっちゃい頃からの友達でね。祥子はああ見えて良い子だよ。茜の見た目はあんなだ。誰がどう見ても甲武人には見えない。そんな茜と友達になってくれるのは祥子と伊達家の家臣の娘たちだけだった。修学院女子幼年部に入ってもあの金髪を見てすぐに高学年の女子の呼び出しにあった。それを追い散らしたのも祥子だ。本当にいい子だろ?そんな友達思いで優しい祥子は甲武海軍の法術師の前線からの引き上げに我慢できずに軍を捨て甲武浪人として戦地を求めようとしたんだが……傭兵の稼ぎじゃあの金のかかる祥子の義体の維持費すら稼げるもんじゃない。そこで茜にそのことを言ったら昔の友情を思い出した茜がとりあえず話をしようとこの豊川に祥子を呼び出したわけ」
誠はかなめと同類の自分勝手なところばかりが目立つ祥子にそんな意外な一面があることに驚きの表情を浮かべた。
「じゃあ、祥子さんは茜さんの言うことなら何でも聞くんですね?」
恐る恐る自分への希望も込めて誠は嵯峨に尋ねた。
「うん、アイツ等は本当に仲良し。お前さんはアイツの銃器が怖いんだろ?それは俺から茜経由で祥子が誠と結婚できない理由はそこにあると言えば大丈夫だ。茜はああ見えて一流の弁護士だ。弁は立つが強引すぎる祥子の言葉の矛盾を指摘して納得させることなんて簡単だよね。それにおれもちっちゃい頃の祥子を知ってるけど確かにアイツは先天的に偉そうだけどかなめ坊と違って自分勝手というわけじゃない。祥子はちゃんと海軍陸戦隊と言う組織を率いて戦うだけの統率力とカリスマ性があるんだ。統率力とカリスマはそれなりの物分かりの良さが無いと生まれない力なの。単独での潜入任務しか経験したことが無いしそれ以外は向いてないかなめ坊とはそこらあたりは徹底的に違うところだね」
嵯峨はよく知る近所の娘さんについて語るおじさんのような顔でそう言うが、どう見ても見た目は誠と同い年くらいにしか見えないのでその光景はあまりにシュールに見えた。
「じゃあ……クバルカ中佐の言うことはある意味正しいんですかね……」
誠は嵯峨の言葉でランの人の見る目の確かさを実感してしんみりと弁当の主催のシュウマイに箸を伸ばした。




