第164話 仲人を買って出る『駄目人間』
そのまま午前中の事務仕事を終えるての昼休み。
誠はいつものようにハンガーで整備班御用達の弁当を買って本部棟を歩いていた。
「おう、神前!」
通りかかった喫煙所で声をかけてきたのは嵯峨だった。
「ああ、隊長……昼はもう食べたんですか?」
お蔦との同棲生活以来、日々見た目だけは『駄目人間』から『特殊部隊の切れ者隊長』風に変わった嵯峨を見て誠は疲れた笑みを浮かべた。
「なに?疲れてるの?俺は今朝はあのそっち系にはこれまでこれ以上俺に抱かれると人間失格になるからって自分から誘ってくることのない秀美さんに求められちゃってさ……しかも、いつもは途中でやっぱりもうこれ以上されたら狂っちゃうからっていってお蔦と春子さんに声をかけてどちらかと変わってもらうところなんだけど……昨日は狂っても良いからということで朝まで……」
嵯峨の話すあまりにあからさまな性生活に誠は嵯峨がその内面はより『駄目』になっている事実を知って唖然としていた。
「それにしても秀美さんもさすがはサイボーグだね。ほとんど寝ずに一晩してて意識も朦朧としていてフラフラでもシャワー一つでしゃきっとするのは大したもんだ。お蔦と春子さんはすっかり二人で俺達を見ながらお互いを慰め遭ってたんだけどいいものを見せてもらったって喜んでたよ」
満面の笑みの嵯峨を軽蔑の視線で見つめながら誠はとりあえずこのままあの『社会不適合女』の巣に変える気にもならず喫煙所のソファーに腰かけて弁当を開けた。
「へえ、ここで食うんだ。まあいいや、アレだろ?伊達のことで揉めてるんだろ?アレは……これまでのお前さんに迫ってきた女とは桁が違うからな」
嵯峨はふたを開けてとりあえず沢庵に箸を伸ばした誠を見ながらそうつぶやいた。
「隊長の事だから全部知ってたんじゃないですか?それにこういうことがあるといつもなら僕の見方になってくれるクバルカ中佐まで僕と祥子さんに結婚しろとか言って来るんですよ!これじゃあこの隊に僕の居場所なんてどこにもないじゃないですか!」
白米を口の運びながら誠の口から出るモノは泣き言ばかりだった。
「ああ、ついにランの眼鏡にかなう嫁がお前の前にも表れたか……これはランが仲人をするとか言って来ただろ?アイツは独身だから仲人らしくは見えない……というかあんなちっちゃいのが仲人で結婚の記念写真なんて格好がつかないよね?俺がやってやる。俺の妻役は秀美さんが良い?それともお蔦?ああ、お前さんの事だから春子さんが良いって線もあるが……ほかにも数人やりたいという立候補者がいるんだ。お互いモテるってことは辛いよな」
やけ食い状態の誠に向けて嵯峨は能天気にそんな言葉を口にした。




