第156話 ハンヴィー備え付けの対シュツルム・パンツァー用ミサイルについて
「みなさん、盛り上がっているところ申し訳ないのですが間もなく隊につきます」
運転していたリンはそう言って隊のゲートにリムジンを向けた。ゲートには千代の運転するハンヴィーが停まっている。
「それにしても陸奥守。あのミサイルはなんとかならねえのか?邪魔でしょうがねえよ。ゲートだってギリギリじゃねえか」
それまで理屈で追い詰められていたかなめは話題を変えようと黙り込んで誠の顔を穴があくまで見つめている祥子にそう言った。
「関白殿下や俺をものにした誠やかえでの安全を守るためにはあれでも足りないくらいだ。いっそのこと飛行戦車の導入を……」
相変わらずのぶっ飛んだ発言にこんな危険人物である祥子を寮に引き込んだアメリアに全員の視線が向いた。
「祥子ちゃん……飛行戦車をうちの駐車場に停めたら他の車が停められないでしょ?そのくらいは考えてね?」
アメリアも予想以上に火力至上主義脳の持主の祥子に呆れたようにそうつぶやいた。
ゲートを抜け、リムジンはそのまま隊の駐車場にたどり着いた。
すでに鷹司の古めかしい高級乗用車は停められており、その隣には『始業30分前には準備を済ませる』というのがモットーのランの黒い高級車が停められていた。
「なんだよ、遅刻じゃねえのかよ。結構早く着いたじゃねえか」
リムジンから降りながらかなめは運転席からそのままかえでの乗る座席のドアを開けようとしているリンに向けて嫌味のつもりでそう言った。
「予想より産業道路が空いていたので。それより……あのミサイルにはかなめ様の部下の警備部員を常駐させる必要があるのでは?駐車場にあんな危険なものを監視もつけずに置いておくのは危険極まりないことだと思われますが」
リンは嫌味半分に優雅にリムジンから誠の手を引いて降りるかえでを気遣いつつそう言った。かえでの握る手の反対側の手はかえでに対抗して手を握っているカウラの姿がある。
「しゃあねえなあ、連中には一日中野球の守備練習をさせるつもりだったが……分かったよ、一人は常にあれの隣に立たせる。そうすれば文句はねえだろ」
半分やけになったようにかなめはそう言った。
誠は警備部と言うまだ見たことが無いかなめのわがままで作られた草野球の二軍を担当するためだけに作られた部隊の一日が野球の練習だけに費やされることが確定しているという事実を知って呆れていた。
「さあ、行こうか……誠君。早く着替えを済ませて機動部隊の詰め所の自分の席に行った方がいいよ。たぶん君を待っている女性がいる。女性を待たせるのはマナー違反だよ」
かえではさわやかな笑みを誠に向けてきた。誠はかえでの言葉の意味も分からずかえでに手を引かれて本部棟に足を向けた。




