第149話 伊達家の家訓『お出かけの際は棺桶とミニガンを携行すること』
誠は祥子たちに続いて食堂を飛び出して部屋に駆け込んだ。
部屋に入ると目に付くのは倒れた本棚と昨日祥子が破壊した壁。その壁の向こうには白木の棺桶が目に付く。
『伊達家の伝統なのか?ああいう風に年がら年中棺桶を背負って歩くのは……まあ、ミニガンはたぶん違うと思うけど』
そんなことを考えながら少し寒く感じて誠は今日はいつもの黒いブルゾンではなくりゃいろいダウンジャケットを身にまといつつそれとなく大きくあけられた壁の穴から見える祥子の部屋に目をやった。
そこでは祥子が彼女が言うにはケプラー素材の黒いコートを羽織ると巨大なラックを背負っているのが見えた。
『ミニガンも……伝統なんですか?』
あきれ果てた誠の視界の中で祥子はラックから延びる給弾レールを引っ張り出して床に置かれたミニガンにそれをつなげた。それを見守っている千代は軽々と白木の棺桶を背負いあげている。
『これまでもこの寮の女子は異常だった……でも、あの二人はそのレベルとは別次元のおかしさだ……関わらないでおこう』
誠は今見た異様な光景を忘れようと二人より早く自室を飛び出した。
階段を駆け下りると玄関にはすでに準備を済ませたかなめ、かえで、アメリア、カウラ、リンが誠を待ち構えていた。
「今日も昨日のリムジンが使えます……というか1か月契約なのでしばらくはあれで通勤することになりますが……誠様、よろしいでしょうか?」
そう言ってたぶん運転を担当することになるのであろうリンは誠にそう尋ねてきた。
「ええ、別に僕は問題ないですけど……」
そんなことを言った誠は背後に人の気配を感じて振り返ると予想通りミニガンを構えた祥子と棺桶を背負った千代が立っていた。
二人に異様な光景に一同は言葉を失ったまま、一度手にしたミニガンと棺桶を置いて軍用ブーツを履く祥子と千代を見つめていた。
「おい、出勤だろ。俺の準備は出来たぞ。行くぞ」
祥子は言葉を失ったままの一同に目をやるとそのままミニガンの銃口を前方に向けたまま寮の玄関を出て行った。
「おい、西園寺。銃で問題を起こすのはお前の専売特許だ。ミニガンの銃口を前方に向けたまま市街地を歩くのは止めるように注意しろ。関白の貴様の言うことなら伊達も受け入れるはずだ。しかも、伊達のミニガンの安全装置は解除されていたぞ。スイッチが入れば大事故になる。なんとかしろ」
カウラはあんぐりと口を開けたまま自分を上回るトリガーハッピーの存在に反応できずにいるかなめに鋭い視線を向けた。




