第148話 突貫工事と忙しい朝
「そんな馬鹿話はこれくらいにして、誠君と祥子君の部屋の間の壁の工事は今日の勤務中に行うそうだ。あそこの工務店は仕事が早いからね。きっと君達にも満足してもらえる仕掛けが組み込まれる予定だよ。期待していてくれたまえ」
とりあえず喧嘩中の姉が満足げに黙り込んだのを確認するとかえでは誠と祥子に向けてそう言った。
「そうか!それでは俺の希望したあのからくりも……」
そこまで言って隣に誠が居るのが目に入った祥子は口に手を当てて余計なことを言ったと誠にも分かる態度を取った。
「からくり?かえでさん、祥子さん……僕は普通に壁を修復してもらいたいだけですよ?余計なことはしないでくださいね」
かえでは誠の想像しうる最高レベルの変態である。そして祥子はその誠の想像のレベルをはるかに超えた異常存在と言っても構わないレベルの変態である。変態同士気が合うのは分かるがその変態行為の目的が誠に思う存分蹂躙されるという誠が望んでいない理由だということを分かっていたので誠は警戒感を隠さずにそう言った。
「なあに、ちょっとあると便利と言った当たり前の機能だよ。きっと便利な生活が送れるようになる」
さらりとそう言うとかえでは身をひるがえして食堂から出て行こうとした。
「かえでさん、話が終わったわけじゃあ……」
そう言ってかえでを追って歩き出そうとした誠の前にリンが立ちはだかった。
「誠様。それと見なさん。ご自分の時計をご覧になられてはいかがでしょうか?今から出勤準備を始めないと遅刻ですよ。クバルカ中佐の遅刻への厳しさは皆さんもご存じのはず。それと新管理部長の鷹司部長は元大蔵官僚です。経費削減のために遅刻の場合、隊長の許可が無ければ恐らくはその分は給料から差しかれることになるかと」
リンのあまりにも当たり前の発言に誠達はそれぞれに時計を見た。確かに時間的には何時も余裕をもって出かける時間はとうに過ぎていた。
「なんで早く言ってくれないのよ!カウラちゃん行くわよ!それとかなめちゃんもいつまでも関白扱いに酔ってないで!」
そう言ってアメリアはカウラの襟首とのんびりと茶を飲んでるかなめ腕を掴んだ。
「あーかったるい」
かなめはいかにも面倒くさいというようにアメリアに連れられてカウラと一緒に食堂を出て行った。
「ああ、誠。俺達も戻るぞ。俺の出勤に必要なものはあの部屋にある。急げ」
自分では自分は誠のものだと言いながらその扱いは誠を自分専用の女性用大人のおもちゃとして扱っているかなめと大して変わらないんじゃないかというような祥子の態度に疑問を持ちながら誠は祥子と千代の後に続いて自室へ向かった。




