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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 新年度の『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第二十二章 『女ターミネーター』は料理人?

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第145話 女ターミネーター、料理で所領を取り戻す

「おい、アメリア。落語家失格がよく言うわ。その落語の話はアタシも知ってるんだ。でも結局身を二口しか食えねえじゃねえか!アタシの家西園寺家で鯛なんて高い魚を食うのは数年に一度の事だ。その時は骨の髄までしゃぶりつくすのが西園寺流だ。特にアタシは魚は頭の裏の肉や脊髄の汁を吸うのが好きなんだ……アメリアの意見を採用したらどっちもできねえじゃねえか」


 かなめは2メートルを超える超高性能サイボーグにして砲撃系の法術師でもある祥子の前ではいつもの腕力と銃ですべてを解決するという彼女の得意技が自滅を招くことくらいは理解していたので黙って並んでいる小鉢を片付ける作業を続けていた。


「なるほど、関白殿下の好みは俺に似ているらしい。俺も魚は隅々まで食ってこその魚だと思っている。じゃあ、関白殿下の好きに食えばいい。その方がこれを最上級の焼き加減に焼き上げた俺としても望むとこだ」


 祥子はかなめに敬意を持っているのかどうかよくわからない偉そうな口調でそう言った。


 かなめは祥子のその言葉を聞くと小鉢を置いて目の前の巨大な鯛に箸を伸ばした。


 器用に身を次々と早食いのかなめらしく口に運びあっという間に食い尽くすとすぐにひっくり返し旨そうに食べ続ける。


「誠ちゃんの精力増強特別食に加えてこれからはかなめちゃんも関白殿下専用食が食べられる身分になるのね……羨ましい限りだわ」


 鯛の身を食べ終えて今度は大きな鯛の頭に手を付けて箸で器用に解体して骨の隙間の肉を味わっているかなめを見ながらアメリアは嫉妬するようにそうつぶやいた。


「羨ましいか?ああ、蔵人守。オメエは陸奥守と奥州探題を弟に譲ったとか言ってたな……代わりに相当な金額を弟から巻き上げたとか……」


 おいしそうに鯛を解体して細かい肉を食べ、今度は背骨を一つ一つ折ってはその間の汁を吸いながらかなめはただ脇で控えてその様子を見守っている大柄の祥子に目を向けた。


「ああ、小次郎にくれてやった。あいつに領国管理などできないことは分かってるからいずれは俺に泣きついてくることは間違いないがな」


 今度も明らかに偉そうに祥子はそう言った。


「なんだ、知ってんじゃねえか。あの小次郎……優等生でオメエのお袋のお気に入りだが融通が利かねえらしいな。陸奥守はアタシが小次郎から取り上げてオメエに返す。アタシは関白だ。その権限でそんなことはどうにでもなる。この鯛の良い焼き加減の礼だ、ありがたく思え。あと奥州探題だが、これも後で征夷大将軍の麗子に電話して小次郎に返上させるように連絡しとくから。それもオメエにやる。オメエの料理はどれも良い。気に入った。アタシはうちの居候でもアタシの舌を満足させた人間にはそれなりの褒美をやっていた……オメエにやらねえと不公平だ」


 かなめが鯛の尾に付いた飾り塩を舐めながら満足げな表情でそう言う。祥子の表情が一瞬歓喜に染まるが、それも一瞬のことですぐに冷静で冷酷な祥子らしい女ターミネーターの顔に戻る。


「そうか、俺の料理を気に入ったか。当然のことだな。陸奥守。確かに俺が受け継ごう。あの領国の管理は俺じゃないと無理だ。そうでないと義基公をお支えするに足る大名とは言えん」


 感謝しているのかただ単に偉そうなのかよくわからない祥子の態度にその態度に慣れている千代以外の誠、アメリア、カウラはただ茫然と見守っていた。

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