第140話 口直しに『じゃっぱ汁』そして変態女ターミネーターの願望
「お口直しにどうぞ。これも蔵人守様が自ら調理された一品です。食事には栄養バランスが必要ですので……」
遠慮がちに寮母と言う名のかえでの使用人のメイドが運んで来たのは野菜がたっぷりと入った澄まし汁だった。
「ああ、これはどうも……」
ニンジンや大根の間には魚の白子らしきものや魚の肉のたっぷりついた背骨が見える。誠はとりあえず手を止めた千代を一瞥すると箸とその椀を手に取り汁を一口口に含んだ。
どこまでも上品でいてそれでいて濃厚な味が口に広がる。その香りの上品さはこの魚はタラなのだろうと誠は察した。
「おう、これは俺の得意料理の『じゃっぱ汁』だ!俺は大名だから身をケチるようなことはしない!だが、タラの『じゃっぱ汁』はその内臓が入ってこその本来の味が出る!嫌ならそれは捨てろ!あくまでいい汁を作るための出汁だと思え!ただ、俺はそれも食うがな!肝の旨味、胃袋やその他の臓器の苦みが癖になる!野菜もたくさん入っているぞ!誠には俺の胎や直腸や胃袋にたっぷりと精を注ぎ込んで俺を征服することをこの俺が許してやったんだからな!当然健康なその自慢の腕力で強引に欲望の赴くままに俺を凌辱するがいい!」
相変わらず言ってることが滅茶苦茶なのは祥子の個性だと割り切って誠はタラの白子を口に運ぶ。旨い。骨の付いた身を口に運ぶ。骨から染み出す濃い味が口の中に広がる。
「どうだ?旨いか?他にも誠は大食いだとアメリアから聞いたからいろんな料理を考えていたのだが今日は料理を得意とする俺の才能の片りんを見せる程度で勘弁しておいてやろう!俺を衆人環視の元凌辱の限りを尽くし、屈辱とそれのもたらす快感に震える俺を見ながらその味を思い出してくれれば誠のものになった俺としては最高の幸せだ!その時初めて俺は俺の望みが果たされたと最高の気分になれるだろう!」
気を使っているのか、変態なのか、それとも偉いのかよくわからない祥子の大声が食堂に木霊し、食堂の寮生たちは祥子の異常性を完全に理解して一人、また一人ともったいないと思えるような豪華な魚料理を喉に流し込むと逃げ去るように食堂を出て行った。
「伊達、さっきから貴様の発言を聞いていると頭がおかしくなってくる。以前、隊にも貴様並みに頭のどうかしている『征夷大将軍』である田安が来たが、アレは人畜無害……ああ、西園寺には迷惑そのものだったな……だが、貴様はほぼ殺戮マシーンだ。もっと自分が異常であることを十分認識しろ。というか甲武の貴族と言うのは全員変態なのか?」
これまで祥子の身勝手で偉そうな発言を黙って聞いていたカウラが耐えきれなくなって食べ終えたいくら白子丼をテーブルに置くとそう言った。




