第137話 自家発電の後……目の前にはまるで『ふさ』の食堂
誠は結局、5時間にわたり連続してアメリアと島田がよくサイン会に行くクラスの超一流セクシー女優との絡みで自家発電を続けた後、心地よい倦怠感に包まれながらアメリアのそんな超一流セクシー女優の身体でさえ貧弱に思えるほどの見事なアメリアの裸体に未練を残しながらテレビの電源を落として着替えを始めた。
「見てて思ったんだけど……あんなにテクニシャンで美人でスタイルがよくて……うちじゃなくてセクシー女優に転職……ああ、うちにはかえでさんというもっとハード系なプレイにも対応できる人がいたんだったな。というか、いつからうちはセクシー女優専門の芸能プロダクションになったんだ?」
誠は自分でもバカみたいなことだと思いながらそんな独り言を言いつつ再び祥子が開けた大穴とその向こうの殺風景な部屋を見つめた。穴からはなぜか部屋の中央に置かれた白木の棺桶が目に飛び込んでくる。
「なんで祥子さんは年中棺桶を持ち歩くんだ?伊達家は武家貴族の名門だと聞いたけどその家訓に『常に棺桶を持ち歩け』という言葉でもあるのかな?」
これ以上現実逃避を続けていても仕方がないと誠はそのまま部屋を出て洗面所に行った。
そこでは寮生が昨日の騒動について嫌な顔で誠を見つめてくると予想していたが、誠の脇をすり抜けていく寮生の顔はなぜか誠への感謝の念に彩られているようにしか誠には見えなかった。
「なんだ?アメリアさんの事だから寮の先輩たちを一人一人訪ねて行って全裸の西園寺さんを触らせて僕に感謝しろと化訳の分からない行動でも取ったのか?」
アメリアとかなめが絡むとろくなことが起きない。誠が『特殊な部隊』で学んだ多くの事の一つがそれだった。
そんな馬鹿な妄想は捨てて誠は食堂へと歩いて行ったが、その途中から先日ランにごちそうになった鯛ちりを食べた時に嗅いだような上品な魚の出汁の香りが食堂の厨房から流れて来るのに誠は驚いた。
「シェフの佐藤さんはフランス料理が専門で和食は苦手だとか言ってたけど練習したのかな?」
かえでがこの寮のオーナーになってから料理の一切を任されている元甲武の花街の女郎でかえでに拾われてその味覚の確かさから東和の銀座の一流店で修業したというかえで専属のシェフ兼愛人である佐藤の事を思い出しながら誠は食堂に足を踏み入れた。
「ここって『ふさ』の食堂じゃないよね?」
思わず誠の口を突いて出たのはそんな言葉だった。
並ぶ料理は刺身の船盛や、魚のアラを使った出汁の効いてそうな汁。そしてランの好物の金目鯛の煮つけにカンパチの兜焼き。
そのフランス料理から急に路線変更した並ぶ料理に誠はしばらくここが何処なのかを忘れて呆然と立ち尽くしていた。




