第130話 医学的見地からのショック療法
「しかし、誠様の私達のような美女のこれだけのアプローチをかわし続ける行動を辞めさせるにはショック療法しかないというのが医師としての私の見解です。そのショックを与える女性は私達が認めるほどの美貌と強さを兼ね備えている必要がありなおかつ強いショックを与えれば寄り美女を欲する人物へと誠様が生まれ変わることになります。そう考えるとあの『女ターミネーター』は最高の存在だと私は考えますが……誠様いかがでしょうか?あの『女ターミネーター』はサイズが大きすぎるということ以外は欠点は見当たりませんので最適の人物で誠様もお気に召すかと。しかも『ベッドの上では祥子君は最高の子猫ちゃんだよ』とかえで様がおっしゃっていたのでその点も問題ありません」
リンの問いに誠はげんなりした表情を浮かべつつ島田が『マカたっぷりだな……日野少佐はオメエをどうしたいんだ?』と聞いて来たのでその赤い色の元がマカだと分かるスープを飲んでいた。
「いや、あの人の場合それ以前に命の危機が僕に訪れることになりそうなんですけど……皆さんはそんなに僕を性犯罪者にするのが楽しいんですか?」
誠はそんなことを口にするのがやっとの状態だった。かなめもカウラもリンもその答えには満足していないようでメインディッシュの子羊のステーキを食べながらため息をついた。
「神前があてにならねえのはよく分かった。だが、余計コイツの部屋に蔵人守とその家来を住まわせるなんてことは許せねえ!あの部屋に全裸突撃を最初にしたアタシが言うんだ!というかあん時アタシが嫌がるコイツを犯しておけばこんなことにはならなかった!まったく後悔後に立たずだな!」
かなめはその発言の過激さとは対照的な上品なナイフ裁きでステーキを口に運ぶ。
「西園寺、そう言う問題ではない。ただ、私も伊達と原田が神前の部屋に同棲するというのは納得できない。それ以前にあの部屋にそもそも寮のベッドが小さいと文句を言っている神前と同じくらいの身長の原田、そしてさらにその一回り大きい伊達が生活すること自体に無理がある。これは物理的・空間的に無理だという話だ。嫉妬とか言う問題ではない」
そんなカウラの言葉が嫉妬だけで出てきた言葉であることは食後のドリンクと言って何度味わっても精力ドリンクとしか思えないものを飲み干した誠にはそう考えることしかできなかった。
リンはその二人のあからさまな祥子、千代主従の誠の部屋への同棲を拒否する態度とどう見ても二人にどうちゅするような顔をしている誠を見て腕組みをしてしばらく考えた。
「では、こうしましょう。京田軍曹!」
リンは寮で誠に対する異常行動で日常的に寮生に迷惑を変えている女性陣とは関わり合いになることを避けて遠巻きに食事をしていた寮生の中で一人の整備班の眼鏡の軍曹で誠の隣の部屋に住む京田に声をかけた。
びくりと震えた後、軍隊らしく階級がすべてということで大尉のリンの所に急いでかけて来る京田にリンは笑顔を向けていた。
「軍曹。副寮長命令です。今晩中に1階トイレ脇の空き部屋に移動しなさい。助けが必要なら私が副寮長権限で人員の確保をします。何か問題でも?」
有無を言わせぬリンの一言に京田は黙って敬礼するとその場を立ち去ろうと背を向けた。そもそも女達が毎日のように騒動を起こす誠の部屋の隣の部屋から抜け出せるのは京田にとっては最高の贈り物である。そして、食堂の寮生たちも京田の引っ越しを手伝うという名目で食堂の社会不適合女達から逃げ出す口実が出来たのは喜ばしいことだった。
こうして食堂には誠とかなめ、カウラとリン、そしてかえでの使用人の高橋達メイド姿の寮母たちとシェフの佐藤だけが残されることになった。




