第128話 社会不適合女達が自分の欲望を満たすための最大の障害
かえでが祥子をエスコートして食堂を去り、それに千代が続く。アメリアもまた祥子の変態趣味に呆れて手の力が抜けたかなめの隙をついて部屋を飛び出していった。
「しかし、あの様子だと……蔵人守とその連れのでかい女二人はこの寮に住み込むつもりだぞ。リン、オメエは副寮長だ。その辺のことはどうなってるんだ?オメエ等の住んでる『女の園』であの二人の『歩く火薬庫』の世話をするのか?」
ギャラリーはせっかく期待していたエロ光景を目撃できなかったことで誠の意気地の無さを責めつつ三々五々自分の部屋へと散っていった。残されたリンに向けてかなめは面倒ごとはこれ以上御免だというようにそう言う。
「いいえ、実はアメリアさんから提言を受けた段階でお二人には誠様の部屋に住んでいただくことになりましたので」
「は?」
リンの言葉の意味が誠はしばらく理解が出来なかった。
寮の男子ベッドはシングルベッドでどう考えても平均身長が195㎝を超えるだろう大柄な3人が寝るには無理がある。
それ以前に『俺は誠の物。好きにしていいと俺が決めた』とあっていきなり言う祥子とたぶんかえでとリンの関係と同じようにそんな祥子の愛人だと思われる千代の脳内もまた祥子のそれと大差ないであろうことはかえでとリンの性生活を二月前まで毎日送りつけられた無修正動画で知っていた誠には恐怖以外の何物でもなかった。
「おい!この無表情腹黒軍医!そんなことしたらあの『女独眼竜』は絶対神前を犯すぞ!コイツの貞操をオメエはどうでもいいと言い切るのか!」
かなめはブチ切れてリンの襟首をつかみ上げて締め上げる。その隣ではこちらもそのような状況は許すことができないというようにもがき苦しむリンを『死ねばいい』という顔で見ているカウラの姿があった。
「西園寺さん!やめてください!そんなにしたら祥子さんじゃないんですからリンさんが死んじゃいますよ!」
本当にリンを殺しかねない勢いのかなめの腕を誠はなんとか振りほどいてリンは殺人狂かなめから解放された。
しばらくせき込んだ後、リンは落ち着いたようにかなめとカウラをかわるがわる見る。
「お二人とも誠様との付き合いが私より長いわりに誠様の事をご理解なさっていないようですね。誠様が私たちのような美女に囲まれつつ一切手を触れようとなさらないのは童貞だからです。でもその童貞が命の危機に瀕して失われることになったらどうでしょうか?そうなれば誠様は女性に興味を持つようになると私は考えました。アメリアさんの発案ですがこれは名案です。あの『女独眼竜』はかなめ様を上回る強引さと相手の意図を感じ取る能力が完全に欠如している。しかも、その殺傷能力は折り紙付きです。どう抵抗しても明後日には誠様は童貞ではなくなる。その後はあの『女独眼竜』をかなめ様の関白の威光で従えさせて我々が自由に誠様を楽しむ。童貞と言う軛から解放されて性に目覚めた誠様はきっと我々のうちの誰かを選ぶはずです……スタートはそれから……いかがでしょうか?何か不明点がありますか?」
リンは立て板に水で論理的にかなめとカウラにそう語りかけた。静かにうなずく二人を見て誠はリンの論理には誠の自由意思が全く反映されていないことで自分の立場が隊の社会不適合女の間では虫けら以下であることを再認識した。




