第120話 理解不能に偉そうなマゾ
「そうですけど……伊達祥子さんと……原田千代さんですね?それより伊達さん……そのミニガン重くないですか?」
ここはあくまで普通に接するべきだ。それが誠の危機を知らせるセンサーが誠に命じたただ一つの指令だった。
「これか?俺の身体は最新鋭の戦闘用義体だ……そこの汎用戦闘用義体とはわけが違う。この程度の物を振り回すことなどたやすいことだ」
それまで無表情だった証拠がニヤリと笑って軽く片手で20キロを軽く超えるM134ミニガンを振り回してみせる。
「それは頼りになる人なんですね……」
誠はここで困った。
話題が無い。
祥子の趣味が戦闘とマゾ的性嗜好以外の何があるかをアメリアは何も言わなかった。誠は視線をちらりと誠の隣でさも面白そうに様子を伺っているアメリアに向けたがその糸目は誠が困窮すればするほど楽しいというアメリアの趣味が露骨に出ている時のそれだった。
「そうだ、そんな俺を自由にしていい権利を誠にはやろう!嬉しいだろ?嬉しくないはずないな?それでは、この場で私の服を切り裂いて裸にして押し倒し思う存分その性欲を満たせ!俺が許してやる!さあ!」
そう言って再び祥子はミニガンの銃口を誠に向けた。
「あのー……そう言ういわゆる『マゾ』な人はかえでさんと言う典型例とその家臣で僕達を見殺しにして逃げる気満々で車に乗ったままのリンさんでよく理解しているつもりなんですけどその人たちが僕にそう言う無茶な要求をしてくる時は銃は持っていませんでしたよ……その銃なんとかなりません?怖いんですけど」
誠はかえでとリンと言う変態との日常で変態の行動パターンは理解しているつもりだったが、祥子のそれはさらにその上を行くぶっ飛びぶりだった。
「そうか、俺を犯すのに邪魔になるか。千代、持て」
そう言うと祥子はその誠ですら持つのがやっとだというようなミニガンを軽々と片手に持つと隣に立つ千代に手渡した。千代も生身だけあってそれを受け取る時はよろける。そして祥子は背負っていた恐らく弾丸の入っているラックを地面に投げ捨てさらに一歩誠に歩み寄った。
「これで俺の邪魔なものは何もなくなった。さあ、犯せ」
サングラスを外した祥子の顔は右目に黒い眼帯が目立つ者のいかにもりりしく力強い印象を誠に与えた。ただ、行ってる内容と態度が完全に矛盾しているので誠は何も言えずにただ証拠を見つめるしかなかった。
「ああ、知っているぞ。アメリアが言うには貴様は口下手だと言っていたな。それなら俺がここで全裸になって四つん這いになるから好きな穴を思う存分堪能しろ。その時は思い切り俺の尻を叩き、乳房を握りしめるのだぞ。ああ、ここにサバイバルナイフがあるなら気が向くなら俺の身体を切り刻むのもいい。俺が許すと言っているんだ。命が惜しければ俺の言う通りにしろ」
誠は性犯罪として『強姦』という物があるが、『強姦強要』という性犯罪がこの東和共和国にあるのだろうかと思いながらしばらく固まっていた。




