第113話 核兵器、持つことも使うことも簡単だが持ち続けるのが難しい兵器
「良く分かってるじゃないか。さらに地球の政府の連中はより激しいくて口汚い隣国の攻撃を求める言葉に同調する人間が多くいることに目を付けた。そう言う同調する発言をする奴には金を出す……ネットにそう言う仕組みを組み込んだんだ。雑巾がけの駄賃じゃ餓死するのが普通で次々と餓死していくネットに張り付いた連中はひたすら自分の国を讃え、周りの国を罵倒し、時に自国にやってくるその隣国の人間を殺せとより工夫を込めて人が考えた物とは思えないような言葉で書くことを競い合った。そうしなきゃ明日の飯を食う金もないんだからそれを責めるのはアタシには気が引けるがね。ただ、それで金持ちは自分の会社の失った市場を戦争に求めてもいいという世論を味方につけて際限のない戦争を始めた。特に核……核は作るのは簡単だ。材料さえあればどんな馬鹿にでもできる。使う……これも簡単だ。宇宙に人が移民する時代にはるかに近い隣の国の首都にそいつを落とすくらいわけがない。だが、その維持に莫大な予算がかかる……それを主なビジネスの材料に連中はしたのさ」
カラはそう言ってあざけるような笑みを浮かべた。
「ここからは専門的な話になるよ、核兵器に使うのは核物質の中でもとりわけ不安定なプルトニウム239だ。コイツはプルトニウムと言う核物質の中でもより効果的な核爆発を引き起こす重要なアンタにも分かるように言うと『火薬』だね。だが、コイツの性質は極めて不安定で時間が経つとすぐに同じ核物質でも低威力の核分裂しか起こらないウラン235に変わっちまう。これで威力は半減以下だ。しかも、このウラン235も核分裂を起こすがプルトニウム239ほど簡単に大爆発と言うわけにはいかずに弾頭の起爆装置の意味がなくなる」
そう言うカラは鋭い視線で桐野を見つめた。
「俺は核は熱かったことは無いからな。そんな教育も受けていない。核は強力な兵器という認識しかない。前の戦争でも庶民はゲルパルトと甲武の先制核攻撃で20億の地球人が死んだと叫んで大喜びをしていた。その5年後には頭の上にこちらは通常の火薬だが爆弾の雨が降ってきて死ぬ運命にあるとも知らずにな」
桐野は核に対して拒否反応を示すようにそう言った。
「アンタのそんな感傷には興味がないんだよ。つまり、核兵器は常に起爆できる状態にしておかないと何の意味も無いただ放射能を吐き出すだけの重い金属の塊なんだ。そんなものは兵器とは言えないねえ……だから常に核実験で実際にすぐに使える状態にあるかどうかを検査する必要がある。まあ、爆発を伴う検査ならただ一発無駄にする程度で済むが、それをきっかけにしたくもない核戦争をするのをどの国も嫌がるから爆発を伴わない検査……これが曲者だ。技術・コスト・人材。どれが欠けても成立しない。それを維持するのには通常兵器を持つのに比べたら嫌になるほどのコストがかかる……甲武だって前の戦争の前までは核兵器を持っていてそのコストが軍事費を圧迫してたんだ。戦争に負けて核を捨てさせられておかげで兵隊の給料が出せるようになった……戦争に負けても核に拘ってたら甲武の兵隊はみんな給料ももらえずに餓死するだろうね」
カラはそう言ってあざけるような笑みを元甲武陸軍軍人である桐野に向けた。




