第101話 『女独眼竜』のターゲットは誠一人に絞られた
「これで皆さん理解が出来たようですわね。アメリアさんありがとうございます。それでは祥子さんと千代さんの所属に関する上申書類の作成の仕事がありますので失礼しますわ」
杭打機がゆっくりと持ち上がっていく横をすり抜けるようにして茜はその場から立ち去ろうとした。
「おい!茜!逃げる気か!かえで!そいつを捕まえろ!オメエもこの性悪金髪和服女の被害者なんだぞ!それとこの女東都タワーの!コイツ等に全部吐かせて反省文を書かせて射撃の的にするまでアタシの気分は収まらねえ!」
相変わらずアメリアの制服のネクタイを握りしめたままかなめはそう叫んだ。
「姉さんに指図をされるようなことじゃないね。それに聞いた話だと祥子さんは僕や姉さん相手なら暴走するらしいが茜さんの言うことは何でも聞くらしいじゃないか。ならば僕の安全は保障された……そして誠君の安全も……まあ、僕は海軍省勤務で彼女の女性に対するあまりに強引というよりほぼ犯罪と言っていいセクハラ行為の報告は受けていたからね。気を付けた方がいいのはむしろ姉さんの方じゃないかな?『女独眼竜』が目を付けるのは『ことさら気が強く腕に自信があって自分の好みの女』に限られるという話だから……姉さんはその条件を全部クリアーしている。しかもドMでドSだ。いっそ、あの馬鹿な『征夷大将軍』から愛人を乗り換えた方がいいんじゃないだろうか?」
かえでは関心を無くしたというように茜の後ろを続いて去っていく。
「かえでの奴……すっかり生意気になりやがって……これならまだ性犯罪容疑でランの姐御がしょっちゅう県警に謝りに言っていた先月までの方がまだマシだ!」
問題の『女独眼竜』の標的がいつの間にか自分になっていたことに気付いたかなめはそう毒づくとアメリアから手を離した。
「かえでちゃんも甘いわねえ……祥子さんの『欲しい欲しい体質』はかなめちゃんの比じゃないことは一緒に『おどろきぱんきー』で茜さんを交えてハンバーグステーキ食べてる時によくわかったわよ。あの子はかえでちゃんは諦めるかもしれない……でも誠ちゃんは諦めそうにないわね……あの調子だと」
あからさまに楽しそうにそう言うアメリアの言葉に誠は背筋に寒いものが走るのを感じていた。
「おう、良かったな、神前。会う前に振られるのは『モテない宇宙人』である遼州人のお前さんとしてもつらいだろう。お前はよりモテ、そしてその様子を見ている俺は非常にその面白おかしいモテ方を見ているのが楽しい。ああ、今日もいい天気だ!」
さわやかな笑顔を浮かべて工事現場を見るのに飽きた嵯峨が立ち去ろうとしていた。誠は地球人に伝わる『女難』という言葉が当てはまる恐らく唯一の遼州人である自分の運命にタダ絶望することしかできなかった。




