バクトリアの思惑
ガンダール 国のギルド会館に到着した バクトリアからの施設団は宿泊棟へ招かれ、のんびりと過ごし、マガダ国から来る外交官の到着を待っていた。
バクトリア 施設団の団長ファルコールの部屋の窓から、インダス川へ注ぐ支流の小川が流れているのが見える 。手前には、れんげの花畑が色とりどりの花を咲かせ、ほのかに花の香が漂ってくる。
小川の向こうは林になっていて、その 林の中から小鳥たちの鳴き声が忙しく聞こえてきた。
「バクトリア に比べて、ここは穏やかだ。とても清々しい」
ーコツコツー
「はい、どうぞ」
部屋の扉を叩く音がして、ファルコールが返事をすると長い髪を後ろで束ね、少し目尻のつり上がった女性が入ってきた。
「朝食の用意が整いました。鳳玉の間へお越しください」
「うむ」
ーーー
「おはようございます。ファルコール総長」
使節団の副団長であるジルバタールが挨拶をすると、すでに席についていた施設団の全員が一斉に挨拶をした。
ーおはようございますー
「おはよう諸君」
朝食の用意されたテーブルには 小麦粉を薄く伸ばして焼いたいわゆるロティと呼ばれる 素焼きパン。
野菜は茄子を油で揚げて、ハーブ類をまぶし、塩と長とうがらし、柑橘系の絞り汁を振りかけた暖かいサラダ。
そして、溶き卵に様々な野菜やチーズのようなものを混ぜて焼いた卵料理が、それぞれの皿に盛ってあった。
そして、羊の肉をじっくり煮込んだ極上のスープからは、なんとも言えない食欲を掻き立てるような香りが湯気とともに立ちのぼっていた。
この時代には茶葉は無いので、ハーブと穀類の殻やタンポポ、とうもろこしのヒゲなどを混ぜ、それを煎じ、山羊の乳を加えた甘いお茶が用意された。
ー......ー
皆、言葉をなくしたように無心で食べていた。
ーーー
朝食を終えた男たちは、やがて到着するマガダ国の外交官との交渉について、綿密な打ち合わせに入った。
「漢への武器流入を黙認していれば、いずれ彼の国は西国方面(現在の西欧)への侵略を企てるであろう。」
「その通り。 マガダの武器を入手すれば軍事力は強大なものになる」
「しかし、その武器の流入を一方的に封鎖してしまうと、マガダも黙ってはいないだろう」
「確かにその通りだな。だが、 あまり悠長に構えているわけにもいかぬ」
半月ほど前にバクトリアがカンボージャの金鉱山の粗金搬出ルートを封鎖した。それによって金の精錬も停止、マガダ国へ輸出されている金が途絶えた。
そして、武器の製造に必要な金属を、近隣国から輸入調達する為の資金に影響を及ぼしていた。
バクトリアによる封鎖は、カンボージャとマガダの両国を相手にした宣戦布告、その一歩手前に等しい行為であった。
しかし、漢の国がマガダ国の武器をこのまま調達すれば、軍事力を高めてバクトリアに侵攻してくるのは明白であった。
「ファルコール総長、元老院議会の意向は?」
「うむ。その点については、今はまだ話すわけにはいかない。相手の出方を見てから決める」
ーーー
2026年5月
イスラマバードは、現在の危機における仲介役を受けている。イランの回答はパキスタンの仲介者を通じて米国側へ渡され、米国・イラン協議がイスラマバードで再開される可能性も報じられているものの、イラン側の態度が二転三転して、方向が定まらない。
また、パキスタン自体も自国のエネルギー危機を抱えていることから、カタール産LNGの通航確保をイラン、カタール、パキスタン間の交渉で進めていた。
カタールのLNG船がホルムズ海峡を通過し、パキスタンに到達した。
一方、イスラエルは、イラン戦争の枠組みの中で直接・間接の軍事圧力を維持している。直近では、イスラエルがレバノンを空爆し、少なくとも24人が死亡したとアルジャジーラは報じた。
ホルムズ海峡の実質上の封鎖によって、日本国内でも影響がでていた。
不動産業界ではリフォーム資材や清掃関連の物資が欠乏し、入居が遅れたり、入居できなくなるケースが発生している。
また、スーパーやコンビニエンスストアーに並ぶ食品パッケージの彩色インクは原料のナフサが高騰している為、減色する企業もあった。
大手のスナック菓子メーカーでは、無彩色を決定。コンビニのポテトチップスのパッケージがモノトーン(白黒)になる日が近いと言う。




