↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第九章 ランクA国家バドール

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
99/127

第九十九話 エルデネの真実

「黄帝サーラ!待ってくれ。俺たちは戦いたいわけじゃない。少し話をさせてくれ」

俺は大きい声で言った。

サーラは不服そうな顔をする。


「私の処刑を邪魔しておいて、戦いたくない?虫が良すぎると思わないか」

サーラは今にも第二撃を繰り出しそうだ。


落ち着くんだ、俺。

何かあるはずだ。

サーラが響きそうな言葉を探す。


「その処刑の理由は、適切なのか?アーカーシャや——デュランの判断なのか?」


俺の言葉に、サーラが少し眉を動かす。

反応した。


——よし、方向性はこれだ。


「どういう意味だ?」

サーラが俺をじっと見る。


「——市長を処刑するのとは訳が違う。相手は六帝だ。ここには——六賢もいる。この場で判断できる内容なのか?」


決して俺は——ロイスの死を軽んじているわけじゃない。

何よりも重く受け止めている。

だからこそこんな言い方したくなかったが……


権力。意志。

サーラの行動倫理はそこにあると直感が言っていた。


「思い出したぞ。お前たち……ガリアにいた子どもたちか。そこにいるのは……エイナ=ヴィザロッドか。

弁が立つようだな。確かに私の独断で処刑できる対象ではない。だが、アバロンは私の指示——アーカーシャの意志に歯向かった上、攻撃をした」


「指示とはなんだ。アバロンさんが怒った理由があるんじゃないか?」

俺が叫ぶと、サーラは不敵に笑った。


「バドールの開発中止。これ以上のバドールの発展を、アーカーシャは望まない。次の開発先として、パルファムに行けと言っただけだ」


「そんな指示聞けるわけがない!もう少しで……バドールはランクSも見えてるんだ!開発を止めるわけにいくか!」

アバロンが再び激昂する。


「……相変わらず茶帝殿は頭が回らないようだな。開発を続けたとして、ランクSになるわけがないだろう。それを決めるのは、我々なのだから」


「くっ……同じ六帝のくせに……ジェネシスだかなんだか知らねえが、ふざけんな!」


ジェネシス。再び出てきた言葉。

直後。

パシン、という音が響く。

式を出そうとするアバロンの頬を——エイナが引っ叩いた。

唐突なできごとに、アバロンは呆然とする。


「落ち着きなさい。長官。この国は——あなただけのものではないでしょう」

エイナが毅然と言い放つ。


「……もういいか?アバロン以外、消えろ。これ以上邪魔をするならまとめて殺すぞ」

サーラが冷たく言い放つ。


「待て!……エルデネ!何してんだよ!早くこっちにこいよ!」

俺は、サーラの横で無言を貫くエルデネに呼びかける。

が——反応がない。

虚な表情をしている。


「……エルデネ、前の名前か。今、この女は本来の名前を取り戻した。エルダーン。アーカーシャによって創られ、アーカーシャのために産まれたジェネシス。

私と同じだ。記憶は全てリセットしたからな。もうお前らのことなど覚えていない」


サーラの言葉に——場が静まり返る。


「ロッドの監査役として送り込まれたはずなのに、なぜか使命を忘れていたようだな。全て再設定するのは大変だったぞ。今は、優秀な私の部下だ。ちょうどいい。

エルダーン。——まとめて焼き尽くせ」


サーラはそう言うと、エルデネは両手から火球を作り出した。俺たちが知っているそれとは——遥かに大きさが違う。


「——記憶を消したら、本来の力を取り戻したな。今やカラミティアルどころか、セレスティアルだ」


サーラが再び笑みを浮かべる。


記憶が——消された?

エルデネは——俺たちのことを忘れたっていうのか?


俺は、その事実を飲み込めないまま立ち尽くしていた。


「アラタ!作戦通りいくわよ!」

メイが剣を抜く。ラウルも続く。


「作戦……って、あんな式術斬れるわけ……」


「斬るしかないのよ」

俺の言葉をさえぎって、メイが強く言った。

「任せて。——エルデネを、取り返してくる」


その瞳に、迷いはなかった。


俺はその瞳に懐かしさを覚えた。

この目をしている時のメイは——負けたことがない。


大丈夫だ。


信じる。

もとより俺には——それしかできない。


俺は、サーラに向き合った。


——やるしかない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。