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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第九章 ランクA国家バドール

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第九十八話 黄帝サーラ

「待ってください。何か話してます。あれは——長官?」

エイナが言った。


エルデネ、サーラと話しているのは——アバロンだった。


「なんでサーラと一緒にいるんだ……それに、アバロンさんも」


俺は一瞬、胸に黒い予感がよぎった。

この旅で様々な人に助けられてきた。


裏切られたことなど、一度もなかった。


だが——もしも。


あの三人が裏で繋がっていたとしたら。


いや。


俺は頭を振る。


そんなこと——あるわけがない。


「静かにして。多分、私なら聞き取れる」

メイが意識を集中させる。


——そんなことできるのかよ。


もはや、メイは人間の野生を極限まで研ぎ澄ませた状態なんだろう。

ある意味式術も科学も超越している。


俺たちは、気配を殺した。

状況が掴めない今は、メイの聴力に頼るしかない。


少し経つと、メイが話し始めた。


「どうやら、開発の進め方についてアバロンさんがサーラに詰められているみたい。アバロンさんは少し怒っている。エルデネは——何も話してない」


「詰められている——?だとしたら、まずいんじゃないか」


俺は、苦い記憶——だけど忘れちゃいけない記憶を呼び戻す。


ロイスを断罪し、一瞬で影にしたあの式術。

忌まわしき言葉。

——フルグル。


もしアバロンが同じように断罪されるとしたら——俺はそれを見過ごすわけにはいかない。


「みんな、行こう」

俺は、迷いを断ち切って行った。


それを聞くと、エイナが止める。

「待ってください。——ここで使うとは思いませんでしたが……ザラミ様から教わった式術を使います」


そういうと、意識を集中させる。

エイナから、緑の波動が両手から伸びていく。

片方は俺たちと——片方は街の木々と繋がった。


「これで、しばらくは自動回復状態になります。とはいえ——黄帝の前では気休めにしかなりません。

基本は——アラタのガーディアン頼みです」


俺は頷く。

そして、皆にブースターをかけた。


「できれば交戦は避けよう。エルデネの確保、サーラの捕縛が理想だ。難しそうだけどな。

——エルデネの方は、メイとラウル、頼めるか?」


「分かったわ。エルデネがどういうつもりか分からないけど、もし攻撃してきたら、式術を斬るわ。

その上で——意識を刈り取るように頑張るわ」


難しい戦いなのは分かっているが——エルデネをよく知り、説得できるのもまた、メイな気がする。


俺とキセキは——黄帝と対峙しなければいけない。


「私は戦況に応じて動きます。かなり厳しい戦いになりそうですね。アラタ、できれば説得を」

エイナが言った。


「そのつもりだ。けど、厳しそうだな——あの様子じゃ」


目の前で、激昂したアバロンが何かを叫びながら土の式術を発動している。


「……あの単細胞!」

エイナがとんでもない悪口を言いながら飛び出す。

俺たちもそれに続く。


サーラとエルデネは、難なくアバロンの攻撃をかわしている。——やはり、手強い。


俺たちはアバロンの後ろに回った。

エイナがアバロンに近づき、叫ぶ。

「街中でなにやってるんですか!あなたの作った街でしょう!」


アバロンの攻撃で、街の道は破壊されている。


「エイナ。——小僧たちも。何しにきた。これは、六帝同士の話し合いだ」

アバロンは、俺たちの存在を無視するように第二撃を準備する。


「アバロンさん!待ってください!」

俺の声に、アバロンは攻撃を止める。

「あの赤い髪は——俺たちの仲間なんです」


「なに……?そんなバカな。あいつは——ジェネシスだと言っていたぞ」


「ジェネシス——?なんですかそれは」


「アーカーシャによって創られた——デザインド・ヒューマンだ。遺伝子操作で生み出された——言わばアーカーシャの意志そのものだ」


——なん……だって?


エルデネが……アーカーシャの意志?


「そんなはずは……あいつは、エルデネは俺たちと一緒にロッドから来たんです」


俺はアバロンに詰め寄る。しかし。

「アラタ。話してる時間はないようだぜ。あちらさんは——やる気だ」


サーラが、手をかざしている。

来る。

あの技が。


「査定官への式術での攻撃。反逆とみなす。罪人は、処刑する——」


分厚い雲が一点に集まり——まるで神の裁きかの如く、俺たちの頭上が暗くなる。


「みんな!俺の近くに!」


俺は叫ぶ。耐えられるか?いや——耐えなければ、跡形もなく消え去るだけだ。影となって。


ディミニッシュ——式術の効果を薄める技は、使えそうにない。あの雷の速度を捉えられる気がしない。


つまり——ガーディアン頼み。


頼むぜ、俺の神様?


上空から、一筋の光が俺たちに向かう。


直後。


ガーディアンが発動し——雷は弾かれた。


電流が、地面に流れ、煙が立つ。


「……なに?フルグルが……弾かれた?おい。邪魔をするな。私が処刑すべきは、アバロンだけだ」

サーラが言った。


——俺たちのことなんて、覚えてもいないってわけか。

こっちは忘れようがないってのに。


俺は、怒りを抑え、口を開いた。

今するべきことは、怒りに身を任せることじゃない。


全力で——話をすることだ。


父さん、頼む。


ちょっと俺に乗り移って力を貸してくれ。



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