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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第八章 独立国家リターニア

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第八十五話 ドラゴンと、リターニア騎兵団と。

森の中にいたのは——巨大なドラゴンだった。

口から火を吐く怪物と、武装した集団が戦っている。

十人くらいはいるだろうか。

しかし、半数ほどが倒れている。


「……神獣までいるんですね、この国は」

エイナが呟いた。


「メイ、ラウル!助太刀だ。エイナは、回復を。デンガランさん、注意を引きつけて!」

俺はすぐにみんなに指示を出した。


「了解。めっちゃくちゃウロコが硬そうだけど……斬れるかしら」

メイは剣を抜いた。


「斬るしかねえだろ。縦より横切りの方が筋肉繊維的には斬れそうだな」

ラウルも剣を抜く。


「よし。お前ら、続け!」

デンガランは、茶の式を発動させる。

ドラゴンの足元の地面が、崩れる。

——大きな穴が地面に開き、ドラゴンはそこに沈んでいく。


その瞬間に、メイとラウルが飛びかかる。

一太刀。

鈍い音が響く。


「かってぇ!!」

ラウルの声。


ドラゴンは、すぐさま穴から飛び出した。

──空を飛んでいる。

背中の羽は、飾りではなかった。


「キセキ!紫の式で行動を止められるか!」

俺が叫ぶと、キセキは分離した紫の球をぶつける。


「目くらましをしたよ!しばらくは視界不良のはず」


ドラゴンは方向感覚を失い、地面に落ちる。

その隙に、再びデンガランが穴に落とす。

斬りかかるメイとラウル。


ドラゴンの怒号が響く。


「キセキ、そのまま──ソラリスの準備だ」


残っている火球に、俺はブースターを込める。


「ソラリス!」

膨れ上がった火球が飛んでいく。


よし、これで──

そう思った瞬間。


ドラゴンがこちらを向いて──口を開けた。

口から、火球が飛び出す。


──!!

これは……エルデネ級だ。


ソラリスとぶつかり、相殺される。


──まじかよ。

シーサーペントの頭を吹き飛ばした式術を、かき消しやがった。

ドラゴンは口から煙を上げている。


「あの火球を食らったら一発で消し炭だな……」


俺は恐らくガーディアンが発動する。

が、仲間たちはそうもいかない。


──ドラゴンは喉を震わせている。

連射はできないみたいだな──なら。


再び火球を出される前に、決着をつけなければ。


「みんな!一旦集まってくれ!」


デンガラン、メイ、ラウルが俺の後ろに集まる。

──意図を理解してくれたみたいだ。


ドラゴンの注目が一点に集まる。

先頭の俺と目が合う。


正直──怖い。

いくらガーディアンがあるとはいえ、

もし発動しなかったら、が頭をよぎる。

それでも──これにかかっている。


俺は、再びキセキの火球にブースターをかける。


今度は、撃つタイミングが大事だ。


ドラゴンは再び俺たちに向かって炎を吐く。

怒っているのか──先ほどより大きい。


俺の目の前で透明な壁が生まれ──火球を散らす。

だが、目の前は炎の渦だ。


その炎が止んだ瞬間。

「デンガランさん!足止めを!」


デンガランは、再び茶の式術を発動する。

今度は、穴ではない。

地面がまるで生きた蛇のように、ドラゴンの足に絡みつく。


──すげえな。さすが十八将。

俺はキセキに目線を送った。

キセキは頷く。


「ソラリス!!」


今度は──避けきれないだろう。


キセキの作り上げた火球──とは言ってもそれは炎ではない。

凝縮されたエネルギーの塊だ。

ソラリスはドラゴンの顔に命中した。


俺とキセキの連携式術は──ドラゴンの頭を半分吹き飛ばした。


神獣は、その場に倒れこむ。

巨体が大きな音を立て、地面を揺らす。


先ほどまで戦っていた兵たちのどよめきが上がる。

エイナの治療も、おおむね終わったようだ。


見たところ──死者はいなそうだ。

良かった。


「手助け、誠に感謝する」

騎士団の長らしき男が、俺に近づいてきて言った。

兜に髭の中年。しかし、体は引き締まっていそうだ。

「私はリターニア騎兵団長、ウォラフ。君たちは──式術者か」


「えーと、うん、まあ……」

俺がしどろもどろしていると、エイナがやってきた。


「アラタ。隠していても仕方ありません。ありのまま話しましょう。

私たちの要望も。命の恩人を──むげにはしないでしょう」

エイナが言った。


確かに。

俺たちが来なかったら、全滅していたかもしれない。


「何が事情があるようだな。私たちはドラゴンの遺体を王宮に持ち帰らねばならない。悪いが、話は王宮で聞かせてもらえないか?」


え……?

せっかくこそこそ裏街道を突き進んだのに、結局ど真ん中の王宮入り。


旅は、なかなか思い通りにいかないものである。


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