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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第二章 冒険のはじまり

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第八話 襲来と、肉祭りと。

俺が目を覚ますと──周りの皆も起きていた。

それくらい嘶きだった。


「なんだ……今の」


俺が呟くと、メイと目が合った。

だが、メイは答えるより早く、剣を抜いて走り出した。


「メイ!」


俺たちはメイの後に続いて、洞窟の入り口に向かった。


するとそこには──繋いでおいた馬にかじりつく──大きな熊の姿があった。


「タイドイーターに似てるけど……違うね」

エルデネが言った。


熊は人影に気が付くと──こちらに向かって走り出した。


マズい。


メイが熊の眼前に立ち、直後。

跳躍した。


──高い。


剣で熊の肩口を斬りつける。


熊は叫び声を上げる。


「アラタ!キセキ!ラウル!中に隠れて。私とエルデネで──倒す」


熊は激高し、こちらに向かってくる。

俺はキセキを連れて中に入った。


俺には──何もできない。


エルデネが火球を作っているのが見えた。


メイが熊に応戦し、時間稼ぎをしている。


ほどなくして──エルデネの準備が整ったようだ。


「ごめんねえ。動物たちも一緒に燃やしちゃうと思うけど」


そう言いながら、火球が放たれた。


炎は動物たちを巻き込み燃え上がった。


──悲鳴を上げながら、燃え上がる熊、馬、牛。


その光景は──決して気持ちのいいものではなかった。


俺は、思わず目を背けた。


燃え盛る炎が消えると──残ったのはほとんど消し炭となった死骸だった。



「ありゃー。火力押さえたんだけどね。ほとんど燃えちゃったか。

……熊はさすが頑丈だ、まだ肉が残ってそうだね」


エルデネは、動物たちの死骸の中を歩きながら言った。


「よし、みんな、食べられそうな部分集めるよー。肉祭りだ」


マジかよ……あの後に、食べるっていうのか?




洞窟の中で、残った肉を集めた食事が始まった。


エルデネの炎で、残ったのは馬が二頭、牛が一頭だけだった。


メイは、羊の肉を食べながら泣いている。


「ピーちゃん……私の中で生きてね」


一体、どういう精神状態だよ。


よく見ると……肩から血が出ている。


「メイ、それ……」


俺が言うと、肉をかじりながらメイは言った。


「ああ、これ。熊にやられたみたい。まあ、かすり傷っしょ」


……くっきりと爪の跡が三本残っている。


「……いや、傷残っちゃうだろ、そのままじゃ」


「あら、優しいのね。アラタ、治してくれる?」


「……できるわけないだろ。知ってるくせに」


──母さんがいれば。


これくらいの傷、一瞬で治せるのに。


俺には残念ながら、その力はない。


弟と妹には──受け継がれているのに。


「ん?怪我したの?ちょい見せて」


エルデネは、骨付き肉──馬の脚だろうか──を食べながらメイに近寄った。


するとそのまま、手から緑の波動を出した。


みるみるうちにメイの傷が塞がっていく。


「え……エルデネ、緑の式術使えるのか」

俺は言った。


「うん。もちろん、イエナには敵わないけどね。

他の色も、一通り全部できるよ。研究所で測ったら、全部二式以上だった」


……なんだそれは。

万能の式者と呼ばれているサイレス叔父さんでも、そこまでじゃなかったはずだ。


赤が零式。他のすべてが二式以上。


そんな人間がいるのだろうか。


「君たちを連れて旅するんだから、

ヒーラーはいないと話にならないでしょ。

私がいれば一人六役できるから、便利でしょ」


エルデネは自慢そうに言った。


──知れば知るほど、謎の増える女だ。


「魔獣、やっぱりいたね」

キセキは、牛の肉を少しずつ食べながら言った。

「──人もどこかに住んでいるのかな」



「その可能性はたかいとおもふひょ」

メイが言った。


口に物を入れながら話すな。


「──ごめんごめん。一気にいれすぎた。

さっき、あの熊は私たちを見てすぐに襲ってきた。

つまり」


「人を食糧として認識してたね」


エルデネが補足した。


ということは。


「この大陸に人間がいて──それを食べたことがあるっていうこと?」

俺は聞いた。


とすると、今食べている熊の肉は──人間の肉を食べた熊ということか。


急に、気分が悪くなった。


「恐らく。人里も近いかもしれない。明日、周辺を散策してみよう」


エルデネは、骨にかぶりつきながら言った。


横を見ると、ラウルも平然と色々な肉を物色している。


──よく食べられるな、みんな。


俺は、雪を沸かした水を飲んで、気分を落ち着かせた。


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