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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第六章 コラル国、そしてウィザル国

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第六十七話 戦いの後、旅路の行方。

「派手にやりましたね……」

バクスターの惨状を見て、エイナは言った。


「治せるか?」

俺は、ブースターを送りながら聞いた。


「私、人殺しにならなくて済むかな」

メイがエイナに聞いている。


「……まぁ、やってみましょう。命は助けられると思います。アラタ、ブースターを、私の式にかけてください」


エイナは、緑の式力でバクスターの体を繋げ始めた。

俺はブースターでそれを増強する。


その間、ラウルとレイサスはギランを縛り上げている。

キセキは王宮に応援を呼びに行った。


唐突な敵襲だったが——なんとか乗り切ることができた。


しかし。


アーカーシャが、レイサスをクビに——なんなら殺しても構わないとまで言ったのは本当なのだろうか。


この二人に——確かめなくてはなるまい。



「バクスターにギラン、お前らは投獄することになるが——その前に。アーカーシャは本当にそう指示を出したのか?ウィザルを科学国家にする、と」

レイサスが、低い声で言った。

バクスターが答える。

——まだ、上半身だけの状態だ。


「……事実と解釈は違うかもしれないけどな。

詳しくはギランに聞け。俺は眠りたい」

それだけ言うと、バクスターは気を失った。


——血を流しすぎたのだろう。

これまで意識を保っていたのが不思議なくらいだ。


「——ギラン、事実を話せ。お前らの解釈はいらん」

レイサスは言った。


「私は……負けていない。あんな反則、認めてなるものか」

地面を見ながら、ぶつぶつ言っている。

——反則?


一体エイナとラウルはどうやってギランを倒したんだ。


ラウルが剣を握る。


「おい。話せよ。こっちも命をかけたんだ。

負けたやつにも、負けたなりの責任があるだろう」


ギランはその剣に怯えたように、身をすくめる。

「わ、分かりました。

アーカーシャは……私の提案を許可しました」


「提案?」

レイサスが聞き返す。


「ウィザルだけが科学が遅れている。進歩させないと、帝国のお荷物になる。私にやらせて欲しいと」


「……アーカーシャはなんと答えたんだ」


「科学を遅らせているのは、こちらの指示です。

ですが、もしあなたがレイサスを倒せるのなら、それもまた一つの流れ。もしそれがかなうなら、許可します。

ただし、国王は血族から選んでください、と」


科学を遅らせているのが——アーカーシャの指示?

初耳だ。


俺はレイサスを見る。


「……やはり、そんなところか。

全く意味が変わってくるな。

アーカーシャが、自らの方針を勝手に変えるとは思えない」


レイサスや過去の国王は——アーカーシャの意志に従って科学と距離をとっていたのか。


「いずれにしても、アーカーシャに行かなければならないな。ウィザルの方針について確認せねば。

しかし……この状況で国を放り出すわけにも……」

レイサスは呟く。


「叔父様。私が行きます。そして、確認してきます。

ウィザルの未来は——私の未来でもあります」

エイナが言った。


「しかし、お前はアーカーシャの中に入れないではないか」

レイサスが答える。

「六帝、もしくは六賢になるしかない」


「——大丈夫です。六帝は——元々、私の目標です。

六帝になるくらいじゃないと——どうせアーカーシャにたどり着けない」


エイナは語尾を強く言った。


たどり着く?

まるでそれが難しいかのような言い方だ。

この先——まだ困難があるって言うのか?



「叔父様、後で六帝や六賢になる条件を確認させてください。過去の事例で構いません」

エイナの決意を感じる。


レイサスは頷いた。

「……分かった。エイナに……いや、君たちに任せよう。私はこの国を守っておく。何か、予想もしない事態が動いているかもしれん」


——どうせ、俺たちの旅の目的地は同じだ。


アーカーシャ帝国で何が起きているのかは分からないが——国を蔑ろにされて、エイナは怒っているようだった。


俺たちは、その日はウィザルで泊まり、翌日に出発することになった。


その夜は、レイサスの計らいで王宮で宴が催された。


——こういう扱いを受けるのは、久しぶりだ。

初めて出会った人々——ユルガン族以来だ。


テムルは、そしてアイネの兄弟たちは、元気だろうか。

未知の大陸から来た俺たちを、温かくもてなしてくれた。


俺たちは、互いの修行の成果について話し合った。


「というわけで、オラディグとイグラスには相当世話になったわ。近々、道場について相談に来ると思うから、よろしくね」

メイは、レイサスに言った。


「あの二人が再び剣を握る時が来るとはな。

——私としても嬉しい限りだ。

それにしても、〝式術斬り〟は相当習得難易度が難しいと聞いているが……二人とも、よく一週間で身につけたな」


レイサスが答えると、ラウルは顔をしかませた。

「……あいつら、いいやつらなんだけど、修行は地獄だったぜ。二度とごめんだ。まぁ、そのおかげでギランを倒せたから良かったけどな」


ラウルが弱音を吐くなんて——相当厳しかったんだろうと想像がつく。


「お前らは?俺は全然見てねえけど——強くなったのか?」

ラウルは俺とキセキに言った。


「僕は、紫炎だけじゃなく、紫、赤も使えるようになったよ。アラタも、新技使ってたよね」

キセキは俺の方を見る。


「まあ、な。ブースターと、逆ブースターのディミニッシュ。あとは、ガーディアンの発動条件が分かったくらいだけど」


……地味なんだよなぁ、なんか。

メイやラウルの必殺技とか、キセキの多様性とか、そういうのが俺にはない。


毎度のことだが、なんだか少し焦る。


「……この先、もしかすると戦いが続くかもしれません。少なくとも、六賢と十八将を倒したことは、アーカーシャを通じて広まるでしょう。

——アーカーシャの真意が計りかねますが、万が一ウィザルを反逆国家とみなしたら——他の六帝や六賢が私たちを狙う可能性はあります」

エイナが言った。


「この先って、次はどこに向かうんだ?」

俺は聞いた。


「海洋国家シードラ。この大陸は山脈で分断されていて、そこを通らないとアーカーシャにはたどり着けません」


「海洋国家?船があるのか?」

ラウルが目を輝かせる。


「シードラは、内海の名前でもあります。

その海の中心にある島が首都マルティア。

——アーカーシャ最大の、娯楽都市でもあります」


娯楽都市、と聞いて、マルカドールを思い出す。

闘技場、カジノ。


いずれにしても、まだまだアーカーシャは遠そうだ。


「……コラルに戻らなくていいのか?」

俺は、ガゼリアの暑苦しい顔を思い出す。


「ガゼリアの相手している暇がありますか?」


俺は、首を振った。

ごめん、ガゼリア。


アイネを助けたら——約束を守りに戻るからな。



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