↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第六章 コラル国、そしてウィザル国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
54/127

第五十四話 ガゼリアと、プランBと。

「なんだ、ここは……」


目の前に、まるでマルカドールで見た闘技場のような広い敷地が広がっている。

周りは、透明なガラスで包まれているようだ。

円形のその施設には、ご丁寧に観客席まで用意してある。


俺たちは、ガゼリアに案内されるままそこへやってきた。


「ガゼリアのスタジアムです。ご丁寧に、ここだけアーカーシャの科学をふんだんに使っています。

全空調、全天候型。夜間照明付き。

観客は十万人は入ります」

エイナが言った。


言っている意味はよく分からなかったが……。

要するに、私設闘技場ということだろう。

最新科学付きの。


「素晴らしいだろう!ちょうどしばらく興行もないタイミングだ!存分に暴れていいぞ!」


やっぱり、興行もやってるのか。

一体どんな内容なのか少し興味があるが……

今はまず、この試験をクリアして許可証をもらわないと。


「約束通り、俺は赤の式術は使わないでおこう。

他の式はせいぜいランクCだからな!お前らの力を見せてみろ!」


……ものすごい楽しそうな顔をしている。


「ガゼリアって何歳なんだ?」

俺は小声でエイナに聞いた。


「確か、四十五歳くらいのはずですね」


……父さんより上じゃねえかよ。

見た目はどう見ても二十代。

これが、こっちでは普通ってことか。


精神年齢も、俺たちと同じくらいに感じるけど。


「アラタ。作戦通り行きましょう」

エイナはそう言った。


「作戦って言っても、かなり出たところ勝負な気がするけど……」

俺はぼやきながら、自分とキセキに〝ブースター〟をかけた。


「準備はいいか!?よし、始めるぞ!」

鼻息荒いガゼリアが、いきなり青の式で水の塊を放ってきた。


俺は、防衛本能を最大化させる。

命の危険を、自己認識する。


「ガーディアン!」


透明な壁が俺とキセキの前に立ち塞がり、水を弾き飛ばす。


「おおっ!なんだそれは!見たことないぞ!」

ガゼリアは嬉しそうにする。


その隙をついて——ブースターで身体能力が上がったキセキが、ガゼリアの後ろに回り込む。


「紫炎・ハンマー!!」

エネルギーの塊が、ガゼリアの頭を直撃する。


鈍い音がスタジアムに響く。


一同静まり返る。


ガゼリアはその場に倒れ込む……いや、地面にめり込んでいた。


……やった?

いや、やりすぎたか?


キセキも少し心配そうに見ている。


しかし、すぐにガゼリアは立ち上がった。


「ぶはぁ!!なんだそれは!かなり痛かったぞ!」

体の周りに緑の波動が漂っている。

緑の式術。


こいつも、なんでも使えるのか。


「次はこっちの番だな!」


そういうと、ガゼリアは地面に両手を向けた。

地面が割れ、土の塊がこちらに向かってくる。


これは——茶の式術。

やばい、ガーディアンが、間に合わない。


瞬間、俺に飛びつく影。


地面に転がる俺と——キセキ。

キセキが俺を抱えて回避をしてくれたようだ。


「アラタ、大丈夫!?」


「ああ。ありがとな。だけど、俺たちの手札はもうこれしかないぞ」


目の前でガゼリアが少年のように楽しそうに次の準備をしている。

今度は——雷だ。


やばい。あれは、ガーディアンで防げるかどうか。

分からない。


「キセキ!プランBです!」

後ろから、エイナが叫ぶ。


プランB。

それは——要するに博打だ。


「えーっ。やり方わかんないよー」

キセキは答える。


そりゃそうだ。

プランB、それは——紫の式術を使ってみよう、だ。


「理論的にはできるはずです。コツは教えたはずです!」


キセキはしぶしぶ両手でエネルギーを溜めた。

そこまでは、紫炎と全く同じ。

エイナの言うコツは——ここからが違う。


「分離しろーっ!!」


キセキがそう叫ぶと——

エネルギーの塊は、二つに分離した。


右手に赤い炎。

左手に——紫の霧。


「あれ?できた」

キセキは自分の手を見ながら驚いている。


「その霧を、放って!」

エイナが叫ぶと同時に、キセキの手から霧が放たれ——

ガゼリアを包んだ。


「おほっ!幻惑か!?いいぞ!手数の多さは評価点だ!

……だが!」


ガゼリアは青の霧を一気に展開した。

紫の霧は、瞬く間に霧散する。


一瞬、視界は霧で包まれる。


「次はなんだ!?楽しくなってきたな!」


霧の向こうで楽しそうなガゼリアの声が聞こえる。

……こっちは必死だっての。


「次はアラタ——あなたの番です!」

エイナの声が聞こえる。

声まで母さんに似ている。

非常に複雑な気持ちになるのだが、それよりも。


本当にできるのか?

そんなこと。


エイナのプランB説明を思い出す。


「あなたの力は、恐らく式術の原理——自然に限りなく近い力だと思います。式術そのものと言ってもいいかもしれない。だとすれば——」


キセキが再び紫炎を出す。


が、今度は分離しない。

距離を考えて、紫炎は球型になっている。


俺はその紫炎に向かって——

〝ブースター〟をかけた。


紫炎が、瞬く間に膨れ上がる。


発動しているキセキが驚いて後ずさる。


——本当にできた。


エイナは、目を見開いて呟いた。

「これは……革命ですね」


しかし、余韻にひたっている暇はない。


「キセキ!撃て!」

俺は叫んだ。


「え?技の名前は?」


——このタイミングで何を言ってんだよ。

「なんでもいい!とにかく撃て!」


「えーと、じゃあ……紫炎・大玉!!」


絶望的にセンスがない。

……絶対、後で変えさせよう。


超大型の紫炎が、ガゼリアに向かっていく。

霧で遮られた視界から、唐突に現れるエネルギー弾。


さすがにこれは——避けられないだろう。


「ぬおぉおおおお!」

叫び声と共に——とんでもない爆発音が響く。


……やったか?


しかし、晴れた視界の向こうには——

無傷のガゼリアが立っていた。


「素晴らしいっ!!素晴らしいぞ!次はなんだ!もっと見せてくれっ!」


……これが六帝。

赤の式の頂点。


俺たちの博打が成功しても、傷一つ負わせられないのか。


俺とキセキは、次なる攻撃に構えた。


すると。


「ガゼリア。試験は終わりです」


俺たちとガゼリアの間に、エイナが入ってきた。


「なんでだ!まだこれからだろう!?」

ガゼリアは不服そうに叫ぶ。


「いえ——あなたは今、紫炎を相殺するのに、赤の式術を使いましたね?ルール違反です。あなたの負けです」

エイナは言い放った。


それを聞くと、ガゼリアは地面を叩いた。

「くそう!バレてたか!うまく誤魔化したと思ったのにィィ!!」


……まるで子どもである。


「もうちょっと!もうちょっとだけいいだろ!な!」

両手を合わせ、エイナに懇願する。


「ダメです。許可証を発行してください」


「最近戦ってくれるやつがいないんだ!せっかくのチャンスなんだ!頼む!」


情けないほどに頼み込む。

どんだけ戦いに飢えてるんだよ。


その姿を見て、エイナはため息をついた。


「……わかりました。ウィザルに行って、彼らを鍛えてきます。その後に戦うのはどうでしょう。その方が、あなたも楽しめるのでは?」


「ほう!それは確かに……魅力的な提案だな!

ウィザルの後は、エイナも戦ってくれるのか?」


「私は戦いません」


「ちっ……ダメか。まぁいいだろう。

じゃあ、早速手配するから、さっさとウィザルに行ってこい!また楽しみが増えた!」


「……また?」

俺はガゼリアの言葉が気になった。


ガゼリアは答える。


「ああ!つい最近、式術を鍛えたいって女が来たんだ。

あれは赤のランクAだな。俺ほどじゃないが、十八将は余裕だな。特に他の色の使い方が上手かった。あいつも、修行が終わったら戦う約束をしてある!」


……赤の髪。女。

まさか。


「……その女は、エルデネって名前じゃなかったですか?」

俺は聞いた。


「ああ、確かそんな名前だった!歳も俺と同じくらいだったはずだ。なんだ?知り合いか?」


はい。とても。


やっと、エルデネの足跡が掴めた。

早く合流して——アイネを助けに行こう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。