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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第五章 ドラール国エデナ市

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第四十九話 エイナとデンガランと、情報交換と。

「で、話したい事って何かしら」

エイナは、お茶を飲みながら言った。


その姿は、昼下がりに紅茶を飲んでいる母さんにそっくりだ。


こっち側は、俺とキセキ。

相手側は、エイナとデンガラン。


メイは外してもらったほうがいいと判断した。

血の気が多い幼なじみは、ラウルに対応してもらっている。

今頃、市庁舎でゆっくりしているだろう。



「……まず、十八将についてかな」

俺は、言った。


「それで言うと、私の方が先に聞きたいわ。

あなたたちはどこから来たんですか。

このドラールの式術者で、十八将を知らない人はいません。

子どもでも知っています」


「……それは、後で話す。約束する。まずは色々と情報を知りたいんだ」

俺が言うと、エイナはふうっ、と息を吐いた。


「事情があるようね。分かりました。教えてあげます」

エイナは、喫茶店の横に置いてある紙を取り出し、ペンで書き始めた。

「まず、アーカーシャの中枢、六帝。各色の頂点です。

さっき名前の出た──サーラ様は黄帝です」


黄の式の頂点。

すべてを消し去る雷。


──俺たちの敵は、想像以上に強大だった。


「次に、その六帝の候補として育てられているのが──各色三人。

それが十八将。

私は緑、デンガランは茶の十八将です」


いわば、エリート。

いずれ頂点を約束された式者ということだろう。


「そんなに小さいのに、すごいね」

キセキの発言に、エイナは少しむっとしたようだ。


「失礼ですね。──私は恐らくあなたたちより年上ですよ」


「え?」

俺は思わず聞き返す。


「私は十八歳です。あなた方は——短命種でしょう?」


じゅうはっさい……?


メイよりも……年上?


俺はその事実を飲み込めずに、言葉を失った。


「短命種も知らないとは……どこの世界の住人なの、あなたたちは。

次はあなたたちが教える番よ」


呆然としている間に、ボールが渡された。

確かに──約束してしまった。


しかし、ありのまま話してもいいのだろうか。


俺は考える。

これまでのやりとりで、俺の式の正体は認識されていない。

攻撃ができると思っていたくらいだ。

つまり──この二人は、橙の式を知らない。


未知の式術があるとすれば、未知の文明から来たのを想像するはずだ。


つまり、別の大陸──ロッド。


それが想像できないということはつまり。


この二人は、ロッド大陸の存在を知らない可能性が高い。


なんなら──デュランたちでさえ怪しい。

もし知っていれば、俺たちの存在をあんなに軽々しく扱わないはずだ。


だが、その情報がどっちに転ぶか分からない。

賭けてみるしかないか──。


「僕たちは、ロッドっていう別の大陸から来たんだよ」

キセキがストローでオレンジジュースを飲みながら言った。


──おい。


俺の思考時間を返せ。


俺は人選ミスを実感した。

ラウルに来てもらえばよかった……。


しかし時すでに遅し。キセキの言葉は彼らに届いている。


「別の……大陸?」

エイナは指を顎に当てた。


……知らない様子だ。


「ユグラシア以外の大陸は、文明が滅んでいるはずだ」

デンガランが言った。


──アーカーシャ側の認識もそうなのか。

双方に、文明が滅んでいると認識している。


そんなこと、あるのだろうか。


「俺たちも、そう聞いていました。ロッド大陸以外の文明は──はるか昔に滅んでいると」

俺は言った。


「あなたたちの話が本当であれば──帝国の教えに嘘があるということですね」

エイナが言った。

「その大陸の文明レベルは、どの程度ですか」


「……少なくとも、このエデナのほうが発展している。

ブルドア国の──ガリアと同程度だと思う」

俺は答えた。


「そうですか。であれば、帝国の危惧にはなりえないですね。

式術は?」

エイナが立て続けに聞いてくる。


「ちょっと待ってくれ。こっちの質問の番だ。

その──短命種ってのはなんだ?」


「遺伝子のアップデートがされていない種族のことです。

平均寿命は八十歳前後。現生人類と比較し、短命な種です。

──あなたたちのように」

エイナは答えた。


「現世人類……?このユグラシアでは、みんな寿命が長いってこと?」

キセキが聞いた。


「私たちの平均寿命は二百歳前後。バイオテクノロジーの産物です」


……何を言っているのかよく分からない。

ただ、俺たちとエイナは〝種〟が違うってことなんだろう。


「今度はこちらの質問に答えてください」


「ああ……ロッド大陸は、式術はこちらほど発展していないとは思う。

少なくとも、あのサーラっていう女より強い雷は見たことがない」

俺が答えると、エイナは頷いた。


「そちらの危惧もなさそうですね。気になる点があるとすれば──」

エイナは俺とキセキを交互に見た。

「あなたたちの式術です」


「……俺たち?」


「少なくとも、橙、赤紫。そんな色の式術者は、ユグラシアでは見たことがありません」


──ということは。

俺もキセキも全世界的に希少ということか。


「デンガラン。私は、この者たちに同行します。あなたは引き続き開発を続けてください」

エイナはそう言った。


ん?今──なんて?


「ちょ、ちょっと待って。同行って……どういうこと?」


「そのままの意味です。あなたたちの旅についていきます」

エイナは、それが決定事項のように言い放った。


「いやいやいや。それはこっちの都合もあるわけで……っていうかなんで?」

俺は慌てて言った。


「他の大陸にも、あなたたちにも興味があります。というか、知らないことがあるのが許せません」

エイナが言うと、デンガランが笑った。


「無理だよ。——アラタと言ったな。エイナの知的探求心は異常だ。こうなったら止められん」


「とはいえみんなの意見も聞かないと……」


「アーカーシャ十八将の私が同行することに、異論が?

見たところ、ヒーラーもいないパーティのようなので利害は一致すると思いますが」


「まあ、確かにそれは……」


エルデネがいない今、俺たちは怪我ができない。

ヒーラーがいれば助かることは間違いないのだが……。


「いいんじゃない。一緒に行けば。

アーカーシャに詳しい人がいたら助かるし」

キセキはのんきに言っている。


まあ、それはそうなんだが……。


母さんと同じ顔の女がパーティにいるなんて、嫌に決まっているだろう。


しかし、明確な断る理由が見つからないまま……


エイナが俺たちのパーティに加わった。


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