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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第五章 ドラール国エデナ市

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第四十四話 チートブースターと、示現流と。

「ん」


メイはそう言って俺に背を向けた。


察して、ラウルも俺に背を見せる。


「……それは、いいのか?」


要するに、あれをやれということだろう。


「私たちは初参加なんだから、それくらいいいでしょ」


「俺なんて素人に毛が生えたレベルだぞ」


メイとラウルが正当性を主張する。


俺は、ため息をつきながら、背中に両手をつけた。


「ブースター」


二人にそれぞれ、力を送り込む。


「うん、いいね。体から元気が溢れてくる」

メイは肩を回した。

「さて、優勝賞金頂きますか!」


そう言って参加者の列に向かっていく。

ラウルもそれに続いた。


大会は、定期的に行われているようで、観客の盛り上がりは凄かった。


ルールは簡単。

木でできた模擬刀で、有効打を三回受けたら敗退。

時間制限があり、有効打が多い方の勝ち。


似たような競技はロッドでもあったが——メイが負けているのを見たことはない。


早速、第一試合が始まる。


参加者は五、六十人はいたから、それなりに時間はかかるだろう。


俺たちはかなり遠くの無料席から試合を見届けていた。


屈強な男たちが、木とはいえ刀でぶつかり合うのは中々凄まじい。

さながら実戦のようだ。


飛び交う鈍い音や呻き声に、こっちまで痛い気持ちになる。


メイより先にラウルの試合が入った。


こっちの大陸に来てから修行しているとはいえ——元はただの船乗り。本人が言う通り、素人に毛が生えた程度だろう。


少し心配な気持ちで見守っていると——


「あ、いまので三回目だ」

キセキが呟く。


どうやら——ラウルが勝ったようだ。

それも、相手の攻撃を一度も受けずに。


……え?成長早すぎない??


ラウルはこっちを見ると、小さく拳を突き出した。

俺もそれに対して親指を立てて返す。


ちくしょう。かっこいいじゃんか。


トーナメント方式のこの大会は、スピーディーに行われた。


メイの出番はすぐにやってきた。


相手は、二メートル近くはあろう大男。

——マルカドールの闘技場なら、階級分けがあるから、絶対に戦わない相手だ。


案の定、相手も完全にメイをなめているようだ。



「怪我する前に帰んな、城ちゃん」


言いながら剣を構える。威嚇もかねているんだろう。


しかし、メイがうろたえることはない。

ゆっくりと剣を構えると、左足を引いた。


「うるさいわよ。二の太刀要らずって、知ってる?」

メイは剣を腰に構え、低く沈んだ。


試合開始の合図と同時に、一閃。


視界からメイが消え——直後。


会場が静まり返る。

何が起きたのか分かっていない。

しかし、観衆の目線の先には——

一撃を腹にくらってその場で悶絶する男がいた。


会場が、一気に湧き上がる。


男はそのまま立ち上がれず、試合は終了した。


——でしょうね。


そんじょそこらの男が、メイに勝てるわけがない。


メイはこちらを向いてウインクをしてくる。


俺は、見なかったふりをする。


……うるさいな。


喋ってないのにうるさいってすごいな。

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