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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第五章 ドラール国エデナ市

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第四十三話 路銀問題と、剣術大会と。

「ダメみたいだ。ダゴスからもらった通貨は使えなそうだ」

ラウルが帰ってくる。


この未知の国でも、すぐに動いて情報を取ってくる。

頼りになる男だ。


「じゃあ、何とかして路銀を稼がなきゃいけないってことか」

俺は、少しため息をついた。

せっかくもらった金も、壁を越えれば価値がないものになる。

アーカーシャ帝国内で統一通貨があればいいと思っていたが、そうもいかないようだ。

その点、ロッド大陸はすべてソルで統一されている。

誰がそれを成立させたかは分からないけど、実はものすごいことだったのではと思った。


「ちなみに、この街の名前は、エデナっていうらしい。ドラールの首都はヴァドって街らしいから、そこを目指すか?」

ラウルが言った。


「手がかりがない以上、とにかく中心部を目指すしかないな。しかし、どうやって金を稼ぐか……」

俺は考える。


「ギルドとかないのかな」

キセキが呟いた。


「魔獣被害でも出てればギルドもあるんだろうけどな。どう見ても平和そうなこの街じゃあ、必要ないだろうな」

ラウルが答える。

「しかし、夜でもこんな明るいってのは──落ち着かないな」


街のいたるところには、街灯が立っている。

まるで昼間のように道を明るく照らしている。


「とりあえず、その辺歩いてみようよ」

メイが言った。


背中に、剣を背負っている。


ブルドアではまだ違和感がなかったが──この国では浮いている気がする。

夜なので人通りは少なかったが、たまにすれ違う住人は訝し気な目で俺たちを見ていた。


「この国に合わせた服でも買った方がいいな。特に、メイは」

俺は言った。


「あら、服買ってくれるの?でも、先立つものがないわよ」

メイが答える。


「そう簡単に働き口が見つかるわけないしな」

ラウルが続けた。


そんな話をしながら歩いていると、急にあたりに人が増え始めた。

──みんな、同じ方向に向かって歩いている。


「ねえ、アラタ、ついて行ってみようよ。お祭りでもやってるのかもしれない」

キセキが目を輝かせて言った。


「そんなの楽しんでる場合じゃないんだけどな……」

一刻も早く、アイネを助けに行きたい。

そのために、エルデネと合流する。

俺はそう考えていた。

「まあ、この街──エデナだっけ。を知るためにも行ってみるか」


俺たちは、人の流れについて言った。

途中、メイが道行く人に声をかけられている。


「ねえちゃん、出場者か?頑張れよ!」

とかなんとか。


一体、なんのことだ。


その理由は、人が集まる終着点にあった。

キセキが、入り口に建てられている看板を見ながら言った。


「剣技大会会場、だって。」


「……それで、出場者と勘違いしてたのか」

俺はメイの背中の剣を見ながら言った。


「ねえ、ちょっと見て行かない?」

メイが言った。


「そうだな。参考になるかもしれない」

ラウルも乗っかってくる。



……そんな暇があったらさっさと手がかりを探したいが、仕方ない。俺たちは会場に入っていった。


中は明るい光に包まれている。

観客の騒ぐ声が聞こえる。

あながち、祭りだ。

その雰囲気は、昔家族で行ったマルカドールの闘技場を思い出させる。


「おっ、参加者かい?優勝賞金は百万ドラだよ」


……ドラールの通貨だろうか。

それがどんな価値なのかは分からないが、それなりの金額なんだろう。


「高いのかどうかわかんないね」

キセキが言った。


「さっき街で調べた感じだと、多分、五万ソルくらいだ。……優勝したら、しばらくは生活できるな」

ラウルが言った。

情報収集に抜け目がない。


「へえ」

もうすでに、メイが受付を進めていた。


「おい、メイ」

俺は声をかけた。


「お金必要なんでしょ?だったら、ここは私の見せ場でしょ」

メイは答える。


確かに、メイがそこらの剣士に負けるとは思えない。


「大丈夫か?模擬刀とはいえ、最悪大怪我の危険もあるぞ」

受付の中年が、心配そうに言った。

メイは何も言わずに同意書にサインをする。


「はい。あんたも書いて」

メイはラウルにも申込書を渡した。

「私を越えるんでしょ?」


……挑発的だ。

ラウルは肩を回した。


「上等だ。決勝で待っとけよ」


売り言葉に買い言葉。


「せめて一回くらいは勝ちなさいよ。私の弟子なんだから」

メイは,さらに挑発する。


なんなんだ、これは。


本当はこんなことしてる場合じゃないんだけど……


なぜか胸が高鳴っていた。

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