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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第四章 ブルドア国首都ガリア市

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第三十七話 作戦準備と、高い壁と。

それからの三日間で、俺たちは大分ガリアのことを理解できた。

文明レベルが近いからか、なんとなく、アルカディアに似ている。

科学研究所や式術学校もあり、アルカディアとテオロッドを足したような街だ。


「ランクDだったガリアを引き上げたのは、間違いなくダゴス師匠の功績だ」

ロイスは、街を案内しながら言った。


「ダゴスは、なんでパルファムに?」

俺はロイスに聞いた。

初対面の時より、大分話しやすくなっている。


「帝国の人事だから詳細は分からないが……査定官は〝発展が急すぎる〟と漏らしていたことがある」


「急すぎる?──発展が早いと帝国に不都合があるんですかね?」


「さあな。一方ではランク管理で発展を促進させ、急な発展は制御するとしたら──帝国の目的は良く分からないな」

ロイスは言った。


そのあたりは、作戦を成功させ、直接帝国の中枢に入り込めば分かるのだろうか。


「君たちの大陸は──なぜこちらの大陸と交易をしないんだ?」

今度はロイスが尋ねる。


「そもそも、文明なんてないって言われてたからね。私は、こっちの大陸生まれみたいだけど」

エルデネが言った。


「ユグラシアの……?だとしたら──君の身体にはチップが埋め込まれているはずだが」


「へえ。みんな、どこに入っているの?」


「基本的には、ここだ」

ロイスは頭を指した。

「頭の柔らかい赤ん坊のうちに、頭蓋から埋め込む。──成長につれ頭蓋のつなぎ目が閉じ、

簡単には取り出せなくなる」


「頭の中に、機械かあ。なんか気持ち悪いね」

エルデネは言った。


「私たちはそういうものだと教わってきている。帝国の管理下で、役割を全うしながら生きていくだけだ」


「自由がなくなったら、つまんなくない?」

──珍しく、エルデネが話を続ける。

「まあ、私は自由すぎて暇になったから自分のルーツを探しに来てるんだけど」


「……ルーツか。少なくとも、カラミティアルの式者であれば、帝国が把握していないはずがない。

君はいつから別の大陸にいるんだ?」


「うーん。少なくとも三十年以上前かなあ」

エルデネの言葉に、ロイスは目を見開く。


「は……?君は二十代前半だろう?」


やはり。そう見えるか。


「いや、多分四十歳くらいじゃないかな」


「え……いや、そんな……失礼した。まさか、年上とは思ってもいませんでした」

ロイスは分かりやすく狼狽えている。


彼からすれば、二十代の姉が弟や妹を連れて旅をしているように見えるだろう。


この話をしたら、また母さんが怒りそうだ。


──怒るからしわが増えるのに。


それを言ったら、怒らせるあんたが悪いと首をしめられそうだ。


エルデネは、昔を思い出しながら話を続けた。

「小さい頃に、海に流れ着いたみたいだよ。この大陸で生まれたかどうかは分からないけど」

エルデネは伸びをした。

「まあ、もはやどうでもよくなってきたけどね。むしろ帝国の秘密のほうが気になるなあ」


「僕も気になる」

キセキが言った。

「ここより科学が発展しているなら、アルカディアの未来がそこにあるかもしれない」


未来都市。

その響きには確かに憧れる。

一方で、怖さも感じる。


「俺は、科学はどうでもいいな」

ラウルが言った。

「まあ、知らないところに行くのは楽しいけどな」


「強い剣士とかいるのかしら」

メイが続けた。


この二人も、それぞれ自分の軸で旅をしている。

改めて考えると、なんと価値観のバラバラなパーティだろうか。


アイネは──ガリアの文明に驚いてばかりだった。

無理もない。最近まで、遊牧民の社会しか知らなかった子だ。


自動で動く機械も、走る鉄の塊──蒸気機関車も、初めてみるものばかりだ。


なにか見つける度に、俺やキセキに「あれは何?」と聞いていた。


文明レベルが近いこともあり、人々の服装は俺たちとそう変わらなかったので、特に俺たちは衣装を買える必要はなさそうだった。


──無駄に露出の多いエルデネと明らかに遊牧民のアイネは、ガリアの店で衣装替えをしたが。


ガリアの民は活気があった。

きっと、ロイスもいい市政を行っているんだろう。


──ただ。


街を歩くたびに気になったのは──高い壁だ。

国境壁とダゴスが言っていたが──どこまで続いているのかは分からない。


ブルドア国とドラール国のあいだに存在する、人の力で越えられない壁。


世界は明確に断絶されている。


その壁を──俺たちは超えられるのだろうか。


全ては作戦次第だ。

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