第三十四話 共鳴と、破壊と。
引き続きメイは扉と格闘している。
恥ずかしさを隠すようにラウルもそれに参戦しているが、
恐らくダメだろう。
かなり頑丈なつくりだ。
キセキの式が使えれば、紫炎・斧とか紫炎・ハンマーとかで行けそうな気もするが、肝心の式力を奪われ、キセキはその場に座り込んでいる。
エルデネの炎も使えない。
俺は——なぜか何の影響もなかった。
……なんでだ?俺も式術者なんだけど。
アイネは、この状況に狼狽えている。
……ん?
「アイネ……なんか、髪の毛、逆立ってないか?」
アイネの髪が、黒い石に引き寄せられるように逆立っている。
「ちょっと、メイ、ラウル静かにしろ」
俺が言うと、二人は扉を蹴るのを止めた。
耳を澄ますと微かに──キィンという共鳴するような音が聞こえる。
「アイネ……石に近づいてみてくれないか」
「え?わ、分かった」
アイネはゆっくりと石に歩み寄っていく。
──共鳴音が、ひときわ大きくなる。
明らかに、アイネとの距離が関係している。
アイネは、引き寄せられるように石に近づいていく。
石の目の前に来ると、アイネはそっと石に手を触れた。
直後。
大きな共鳴音が部屋中に響き渡る。
俺は思わず耳をふさいだ。
そして──
石が、激しく揺れ始めた。
やがて、石の頂点にひびが入る。
ひびが、縦に走っていく。
「アイネ!」
俺はアイネに近づき、石から遠ざけた。
直後──石は割れ、飛び散った。
アイネをかばった俺の体に、破片が降り注ぐ。
やばい。
そう思った直後、透明な壁が俺たちを包み、破片を弾いた。
「……ガーディアン」
式術が、発動した。
発動条件がまだ良くわかっていない俺の式術だが、それが使えると言うことは。
「エルデネ……あれ、インフェルノ、だっけ。やってみて」
俺は言った。
エルデネは、再び右手から火球を出す。
先ほどは饅頭サイズだった火球は、みるみるうちに膨れ上がる。
「うん、いけるね。──じゃあ、部屋ごとぶっ飛ばしますか」
式力が使えるとなれば──この火の玉女を止められるものはいない。




