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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第四章 ブルドア国首都ガリア市

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第三十三話 ランクC都市ガリアと、検問と。

馬車の横に続く線路。

その線路を、大きな音を立てながら蒸気機関車が走っていく。

その音に、アイネは驚き、隣の席の俺にしがみついた。

俺は不意なアクシデントに喜びながらも、

その機関車を眺めていた。


「……アルカディアだ」

俺は、思わず呟いた。


線路の先に見えるのは──煙が立ち登る都市。

ランクC都市──ガリアだ。


「なんだか、懐かしいね」

キセキが続けた。


「これが、科学……」

アイネは蒸気機関車の勢いに驚き、唖然としている。


無理もない。

俺だって、はじめて蒸気機関車に乗った時はどきどきした。

存在を認識していても、その迫力はすごみがある。


「いよいよやってきたねえ。でも、ここはまだ帝国の入り口だね」

エルデネが後ろで伸びをしている。


「……また俺がずっと馬車動かしてるけどな」

ラウルがぼやいているが、エルデネは意に介していない。


近づく、都市の音。

ユルガン族の土地、草原。

土煙の舞う、レンガの街、パルファム。

これまで通ってきたユグラシアの景色とは、まったく違う街。


目の前には、俺たちのよく知る文明、アルカディアのような街が広がっていた。


街のはずれから立ち昇る、黒い煙。

工業地帯だろう。


人の多さも、並外れている。

俺たちが馬車で街の入り口に到着すると、その街が壁に囲まれていることが分かった。


──まるで、外からの来訪者を拒むかのように。


検問の兵が、俺たちの馬車に近寄ってくる。


「低ランク都市からの旅人か。許可証を見せろ」


明らかに見下した様子で発言する。


「なんで決めつけてんのさ」

エルデネが言い返す。


「今時馬車で来るものなどおらん。同ランク都市とは線路が繋がっているからな。──まあ、蒸気機関車に乗ったこともないだろうが」


失礼なやつだ。

同時に、この世界でランクがいかに重要視されているかが分かる。


「ロイス市長あてで、パルファムから来ました。──ダゴス市長の口ききで」

エルデネに変わって俺が言った。


ダゴスの言う通りなら、これで話が通じるはずだ。


すると、衛兵たちがひそひそと話し始める。

やがて、奥から責任者らしき男が出てきて言った。


「失礼しました。ロイス市長より伺っております。ご案内します。

馬車は、こちらでお預かりしておきます」


ふむ。半信半疑だったが、ダゴスからの連絡はちゃんと伝わっていたようだ。

ひと安心だ。




「……ってここ、完全に牢屋じゃねえかよ!」

俺は一人で叫んだ。


俺たち六人は、憲兵に連れられた部屋に入った。

少し薄暗いのと、扉がやたら頑丈なのが気になったが、

俺たちは案内に従った。


憲兵が部屋を出ると、扉を施錠する音がした。

「それでは、ごゆっくり」


その時に少し違和感は感じたが……。


「牢屋にしては設備がしっかりしてない?応接間みたい」

メイが言った。


確かに、調度品は立派だ。

気になるのは、真ん中に置かれた立派な黒い石。

なんだか──体から力を吸い取られるような気がする。


「まあ、これは監禁されたと言っていいだろうねえ」

エルデネが言った。


「なんでだよ」

俺は聞いた。


「あの石」

エルデネは、部屋の真ん中の黒い石を指した。

「あれ、霊峰ライゼルにもあった。確か、式力を吸い取る石だね。

式力が弱まってる。──ほら」


そう言って、手のひらに火の球を出す。


……饅頭くらいの、小さい炎。


「僕もなんだか気持ち悪いよ」

キセキは座り込んだ。


つまり。


「俺たちが式者と分かった上で閉じ込めた、ってことか」

俺は言った。


「そうなるね。──意図はわかんないけど。さて、どうするかあ。

このままここで暮らす?」

エルデネが言った。


「ふざけてる場合かよ。──ロイス市長に会わないと始まらないだろ。

脱出するぞ」


「どうやって?」

扉をガンガン蹴りながら、メイが言った。

メイの馬鹿力でも、びくともしない。


「どうしたら……」

アイネは、おろおろしている。


ここでバシッと何か思いつけばかっこいいのだが。


俺たちがそんな話をしていると、

──あの男が重い腰を上げた。


「おいおい、お前ら、忘れちゃいないか?このラウル様を」

指を動かしながら、扉に近づいていく。

「鍵開けのラウルとは、俺のことだ」


──海の男じゃなかったのか、お前は。


ラルフは鍵に針金を差し込み、器用に動かしていく。


幸い、外に南京錠があるわけではなく、鍵穴式だ。


これなら、もしかして。


一同の期待の目がラウルに集まる。


ほどなくして、ラウルは額の汗を拭きながら言った。


「ダメだった。わりい」


少しだけ、恥ずかしそうな顔をしている。

まあな、大言壮語吐いてたもんな。

恥ずかしいよな。気持ちは、分かる。


俺は、少しラウルに親近感が湧いた。


しかし……いよいよ打つ手なしだ。


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