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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第三章 ブルドア国パルファム市

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第三十二話 寝不足と、仲間の証と。

「なんか目が充血してない?アラタ」

朝食を食べながら、メイが言った。


余計なことに気が付かなくていいのに。


「そうかな。気のせいだよ」


俺はそっけなくそう言った。

まったく鋭い女だ。


俺は案の定、眠れぬ夜を過ごした。

頭の中から、アイネの笑顔が離れない。


今までの人生で、こんなことなかったのに。


気が付いたら、ほとんど眠れないまま、カーテンから朝日が射していた。

目が充血するのも当然だ。


「それより、今日ガリアに着くんだろ?準備はしなくていいのか」

俺は話を逸らした。


「準備って、なんの?」

メイは言った。


「武器とか、防具とか。──また戦闘になる可能性もあるだろ。

できれば、それは避けたいけど」


「あー、確かに。皆の防具もそうだけど、ラウルの剣も買った方がいいかもね」

メイはサンドイッチを頬張りながら話す。


「……メイの予備を借りているだけだからな。できれば欲しいな」

ラウルが頷いた。


「エルデネ、ファングにもらった旅の資金は、結構あるんだろ?」

俺はエルデネに聞いた。

一応、唯一の大人である。

財布の管理はエルデネがしているはずだ。


「え?よく分からないからアイネに預けてあるよ」


想定外だ。

俺はアイネのほうをちらっと見る。


……昨日の夜のことを思い出し、少し恥ずかしくなる。


「ガリアの物価が分からないけど……パルファムだったら、一年暮らせる分くらいのお金はもらってるよ。だから、装備の買い物くらいなら全然大丈夫だと思う」


アイネは、昨日のことなど意識していない様子で言った。

……舞い上がっているのは、俺だけか。

少し残念な気持ちになる。


「じゃあ、この街で装備を揃えてから行こう」

俺は言った。


「僕ははちがね、が欲しいな」

キセキが言った。


「はちがね?あの、頭につけるやつか?なんでそんなもん」

俺は聞いた。


「父さんたちが初めて冒険に行った時、鉢金を買ったんだって。

最後の戦いの時には、みんなで揃えたって言ってた。

なんかそういうの、いいじゃん」


……子どもっぽい考えた。

だが。


俺も少し、いいなと思ってしまった。


「……みんなで揃えるのはいいかもな。とりあえず、武具屋を探してみよう」


俺は少しわくわくするのを隠しながら言った。


「やっぱり新しい剣は全然違うな」

ラウルが馬車の外で剣を素振りしている。


「あんたまだ剣の良さなんて分かんないでしょうが」

メイがため息をつく。


「うるせえ。そのうちお前を超えてやるからな、待ってろよ」


「あら、楽しみね。──もしそんなことになったら、なんでもいうこと聞いてあげるわよ」

メイは、年上ぶってそう言った。


「はちがねなかったけど、これはこれでいいね」

キセキは、人数分買ったブレスレットを腕にはめながら言った。


「……防御力と言う点においては皆無だけどな。まあ、こういうのは気分が大事だから」

俺も手にブレスレットを着ける。


銀色の、多分安物。

あんまりロッド大陸では見たことがない文様が彫られている。


装備というより、民芸品に近いものだろう。


だけど、みんなで同じものを着けると、不思議と胸が高鳴った。


「すごい。嬉しい」


──中でも、アイネは喜んでいた。

ただ一人、この大陸の人間、ということを気にしていたのだろうか。


「ねえ、これで私も仲間になれたかな?」

俺に聞いてくる。


「それがなくても、アイネは仲間だよ。

だけど──証みたいなのができたな」

俺は答えたが、内心は別のことを考えていた。


アイネと二人だけでお揃いの何かを買えばよかった、と。


……一緒につけようと言う勇気があるかは別として。


それ以外にも、各々防具を中心に装備を固めた。

これで、一旦の備えはできた。


とにもかくにも、今日にはランクC都市──ガリアに到着する。


一体、そこに何が待っているのだろうか。

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