↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第三章 ブルドア国パルファム市

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
29/127

第二十九話 祝杯と、今後の動きと。

「えー。市長続投ってこと?随分甘いんじゃない?」

メイは言った。

手にはグラスを持っている。中身は酒だ。


パルファムの中にある、酒場。

祝杯だと言ってエルデネとメイが入ってしまったから、

仕方なくここで食事をとることにした。


「まあ、それがファングさんの判断なんだろ。

実際、帝国のことについては詳しいのはダゴスだし。

ファングさんとガンダルさんがサポートすれば、何とかなるんじゃないか」

俺はハムをつまみながら言った。


「帝国の中心ってどうなってるんだろうね。僕、そっちに興味が湧いちゃったよ」

キセキが言った。


「お前らが聞いた話だと、アルカディアより科学が発展しているかもしれないんだろ?

──そこまで行くともう分けわかんねえな。俺からすりゃ、アルカディアすら未来都市なんだから」

ラウルは、グラスの酒を飲みながら言った。


──おい、未成年。

ユグラシアでは知らないが、ロッドの法律では十六歳未満は飲酒禁止だぞ。


「んじゃあ、その中心部とやらに乗り込もうか」

エルデネが言った。


「え?行くの?」

俺が言うと、皆が冷たい目をした。


「あんたまさか、ここまで来て帰ろうってんじゃないでしょうね。

今から戻ろうが、旅をやりきって戻ろうが、たいして変わりはしないわよ。

どうせなら、大人たちに大発見を持ち帰ってやろうじゃない」

メイが目を輝かせながら言った。


「いや、ユルガン族の問題も解決したし……一旦テムルさんたちに報告しに行ったほうが」

俺はアイネの方を見た。


アイネは、俺の言葉に首を振った。


「戻ったら……きっともう出られなくなる。私は──皆と旅を続けたい。

足手まといになってるかもしれないけど」


懇願するような瞳で、皆を見つめた。


「こっちの大陸を知っているのはアイネだけだし、いてくれたほうが助かるよ。

じゃあ、決まり。このまま中心部までつっこもうぜい」

エルデネはそういってグラスを掲げた。


アイネは嬉しそうに頷いたが、俺は一抹の不安が過った。


生体認証、チップ。


聞きなれない科学の言葉。


まだ見ぬ世界。


果たして、このまま突き進んでいいのだろうか。


大人たち──父さんたちの力を借りずに、このメンバーだけで旅を続けるべきか。


一瞬考える。


しかし。


目の前で嬉しそうにほころぶアイネの顔を見ると、それ以上は何も言えなかった。


ユルガン族への報告は、ガンダルさんが責任を持って行うと言ってくれた。


「これまでの非礼、本当にすまなかった。君が旅を続けることは、私からテムルさんに報告しておく。──無事に帰ってきてくれ。それまでに、パルファムもよい街にしておく」


はじめて出会った頃の威圧的な騎兵隊長はどこへやら、真摯な騎士が一人、頭を下げていた。


多分、パルファムは大丈夫だろう。


ファングさんとダゴス市長の共同声明も聞いたが、

これまでの方針への謝罪と、民にとってよりよい街づくりについて説明していた。


同時に、ダゴスは道を間違えたらいつでも退任する、とまで宣言していた。


ダゴスは、根はそんなに悪い人間ではない気がする。

少なくとも、街を良くしたい気持ちだけは本物だったように思う。

自分の理想を押し付けすぎて、暴走したのは反省してほしいが。


エルデネは、性格の悪さを前面に出していた。

ことあるごとに指をダゴスに向けて遊んでいた結果、

すっかりダゴスは怯える反応をするようになってしまっていた。

少し哀れだ。


だけど、もしエルデネが敵に回ったとしたら──とてつもない脅威だ。


父さんたちは、よくこんな化け物を敵に回して戦っていたな、と思う。


昔の話はあまり聞いたことがないが──


無事に戻れたら、久しぶりに父さんと話をしてみよう。


その頃には俺も──少しは成長しているだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。