↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第三章 ブルドア国パルファム市

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/127

第二十七話 いざご対面と、ダゴスの正体と。

俺は、全員に「ブースター」をかけた。

自分の体からエネルギーが伝わっていくのが分かる。

ただ、俺自身が疲れるとか、そう言った感じはなかった。

式力には上限があるとか聞いていたが──そもそもこれって式術なのかな。


「うおっ。なんかすごいな。体から力が溢れてくる」

ラウルが少し興奮気味に言った。


「ね。いいでしょ」

メイがなぜか誇らしげに言った。


準備が整うと、展開は早かった。

駆けだすメイに続いて、ガンダル、ラウル。


そこに群がる盗賊団を捌いていく。


俺たちはその合間を縫って、市庁舎の中に乗り込んだ。


中には市政を行う職員たちがいたが、突然の来訪者に驚いているだけだった。

特に、ファング。

その顔を見ると、歓声にも近い声が上がった。


「ファングさん!」


「出てきたんですね!」


旧知と思われるメンバーから声がかかる。


「おう。久しぶりだな。──話はあとだ。ダゴスは市長室だな?」

ファングは言った。

職員たちは頷く。

「市長室は最上階だ。行くぞ」


ダゴスの号令に合わせて、俺たちは階段を登った。


──別の都市からやってきた男、ダゴス。


アーカーシャについても詳しいはずだ。

市長室につくと、ファングは大きく扉を開けた。


「ダゴス!来てやったぞ!」

ファングが大きな声を出す。


部屋の中には先ほどの式術者──バジャとグラムがいた。

その奥に──五十代くらいの小太りの中年が座っていた。


あれがダゴスか。


「なっ……!護衛の連中はどうした!」

ダゴスが叫んだ。


「ガンダルたちが相手してるぜ。ただの賊なんて、足止めにもならない」

ファングが言った。


「貴様ら、こんなことをしてただで済むと思うなよ。

わしは……ガリアの名誉市長だぞ」


──月並みな台詞。本当にこんな悪党いるんだな。


「また過去の栄光の話か。そこを追い出された腹いせに、この街をめちゃくちゃにしているのか?」

ファングが続ける。


「なにを言っている。わしはこのパルファムをDランク……ゆくゆくはガリアと同じCランクに引き上げようとしてやっているんだぞ。この辺境の街がランクを上げるには、土地を広げるしかなかろう」


ダゴスにはダゴスの信念があるようだ。

が──。


「そのランクに意味はあるのか?──俺たちは、別に今の暮らしに不満を感じていない。

お前の欲望に、勝手に市民をつき合わせるんじゃねえ」


正論だ。


ファングが民から慕われていた理由が、なんとなく分かる。


きっと、よく民の声を聞き、民のことを考える市長だったのだろう。


「話しても無駄か。なぜわしが名誉市民だったか、教えてやろう」


そう言うとダゴスは立ち上がり──手をかざした。

手のひらに、火の球ができあがる。


よく見ると髪が赤っぽい。

──式術者だったのか。


「この火球を出せるのは、ガリアでもわしくらいだった。

──ランクB式者。それゆえに、アーカーシャから危険視されてしまったがな」


不敵な笑みを浮かべながら、こっちを見ている。

横にいるバジャとグラムは──不安な顔のままだ。


そりゃそうだ。


つい先ほど──あの火球の数倍以上のものを目の当たりにしている。


すると。


俺の横で、エルデネが人差し指を突き出した。


指から、凝縮された火線が一直線にダゴスの元へ向かう。


その火線は、一瞬でダゴスの火球にぶつかり、手元で爆発した。


「うわっ!熱っ!……なんだ今のは」


ダゴスは弾けた火球の飛び火に驚いている。


──相手が悪い。


エルデネが、一歩前に出る。


「こんな室内で火球出してどうすんのさ。

──やるなら、外でやろうよ」


エルデネのその髪は、真紅に燃え上がっている。


「式術者!?その色は……ランクA……いや、カラミティアル……」


ダゴスはエルデネを見て、格の違いを瞬時に察したようだ。


「よくわかんないけど、戦うの?」

エルデネは言った。


ダゴスは、少し逡巡したあと、目を伏せた。


「……何が望みだ」


戦意喪失。


「とりあえず、話をしませんか」

俺は言った。


人にはそれぞれ背景があり、思惑がある。

それを理解することで、物事は驚くほどうまく行く。


処世術?


いや、めんどくさい父親の小言だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。