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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第三章 ブルドア国パルファム市

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第二十四話 溺れる俺と、力技と。

「なあ、エルデネ」

向かってくる鉄砲水を見ながら、俺は言った。


「なに?」

エルデネも、一緒にそれを見ている。


「あれ、全部火で吹き飛ばしたりできないよな」


「できるかもしれないけど、他の囚人も全員吹き飛ぶよ」


「……却下だな」


話しているうちに、鉄砲水は俺たちを包み込む。


あっという間に、俺たちは水の中に飲まれた。


当然、泳げない俺は水の中に沈んだ。


──泳ぎ方、学校で教えてくれなかったじゃねえか。


こんな形で俺は死ぬのか。


俺は、諦めて体の力を抜いた。

すると、視界に俺に近寄る影が見えた。


──メイだ。


俺の右手を掴む。


同時に、左手を誰かに捕まれる。


──アイネ。


どうしよう、なんて恥ずかしいところを見られてしまったんだ。


生死がかかる状況だと言うのに、俺はそんなことを考えていた。


二人によって、水面に引き上げられる。


「アラタ!体の力をもっと抜いて!足を動かせば、浮くから!」

メイが叫ぶ。


「メイさん、でも、もうすぐ天井に……」

アイネが言った。


何とか、顔を出すくらいのスペースはあるが──

この水の勢いでは、すぐに天井に到達しそうだ。


すると、ファングは思い切り天井に向かって拳を打ち付けた。


あたりに、鈍い音が響く。


──まさか。


天井を破るつもりか?


俺は、ふと思いつき、必死でファングの元へ泳いだ。

──泳いだとは言えないかもしれないが。


そして両手をファングの背中につけ──思い切り、祈りを込めた。


「ブースター!!」


俺が叫ぶと、手から橙色の光が生まれ──ファングの中に入っていった。


「おおっ!なんだこりゃ!力が……湧いてくるぜ!」


次にファングが天井を殴ると──天井に大きなひびが入った。


──もう一息だ。


「あぶっ……キセ、キ……!紫炎だ!」

俺は水を吸い込みながら、キセキに言った。


キセキは頷くと、両手から紫炎を作り出した。


ファングが作ったひびに──それを撃ち込む。


天井が音を立て、崩れる。

──上階への道ができた。


ほどなくして、水面が天井近くになり──俺たちはそこから上階へ上がった。


俺は、飲んだ水をその場で出した。


空いた穴──先ほどまで天井だったその場所からは、水があふれている。


この階を水が侵食するのも、時間の問題かもしれない。


──いや、違う。


「この階は水がないってことは──敵はこの階にいるってことじゃないの?」

キセキが言った。


先に言われた。そう。その可能性が高い。


「じゃあ、探知してみよっか」

エルデネが言った。


「足で探した方が早いでしょ」

そういうと、メイは駆けだした。

ラウルもそれに続く。


俺はと言えば──情けなく、まだ水を吐いていた。

背中を、アイネがさすってくれている。


──情けなさと、その手のぬくもりとで、複雑な感情になる。


「ありがとう、アイネ。──もう大丈夫。ごめんな、情けなくて」

俺が言うと、アイネは首を振った。


「そんなことない。アラタが頑張ったから──ファングさんが救えたんだよ。

さあ、ここを脱出して──パルファムを救おう」


パルファムを救う。

そんな風には──考えてなかった。


俺は立ち上がると、アイネと共にメイたちが向かった方向へ向かった。


──そこには、予想通り、青の式術者──バジャが立っていた。


横には、緑の髪をした男が並んでいる。


予想通り、この階から水を流し込んでいたようだ。


あれだけの水を流せるということは──それなりの式者だろう。


俺は、気を引き締めた。

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