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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第三章 ブルドア国パルファム市

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第二十二話 作戦会議と、漏れる本音と。

「じゃあ、作戦について打ち合わせよう。

まず──エルデネ、紫の式術は使えるよな?」

俺は聞いた。


全ての式が二式以上、とエルデネは言っていた。

であれば、幻惑の式術くらいは使えるはずだ。


「もちろん。ドリームヴェールを使えば、看守たち全員夢の国だよ」

エルデネは胸を張って言った。


「なんだよそのドリームなんとかって」


「ドリームヴェール。あれ、ユイトが名前つけたってミサキが言ってた気がするけど」


……まさかの父さん命名。


〝インフェルノ〟とかと比べると少しダサい気がする……。


「……まあ、いいや。その式術を使えば、看守はクリアだな。

じゃあ、あとはラウルがカギを開ければオッケーだ」


「鍵開けは久しぶりだなあ。うまくやれっかなあ」

ラウルは遠い目をしている。


……本当に、こいつの過去はどうなっているんだ。

俺と一つしか変わらないというのに。


「ラウル、頼んだ。ガンダルさん、看守が手薄になる時間帯はありますか?」


「──まあ、夜だろうな。ただ、地下牢の場所が悪い。

──市庁舎の真横、ダゴスのお膝元だ」


「……側近の式術者が出てくると厄介ですね」


「騎兵団を使って、嘘の情報を流しておく。

──市の郊外に式術者が現れた、とかな。そうすれば、やつらはそっちに向かうだろう」


「うん。いいですね。そうしましょう」


俺とガンダルが話をしていると、エルデネがにやにやしている。


「……なんだよ」


「んー?いやあ、すっかり軍師だなあと思って」


「……なんか悪意を感じるんだけど」


「まさかあ。少年が大人に変わる瞬間を見て、嬉しくなっているだけだよー。

あー、なんかアレクシオと会った時を思い出すなあ」


アレクシオ叔父さん?


──もとい、アレクシオ王。


エルデネは、王が子どもの頃を知っているのか。


まあ、そりゃそうか。実年齢は推定四十すぎ。


見た目のせいで、頭がおかしくなりそうだ。


「アラタ、僕は何をすればいいの?」

キセキが聞いてきた。


「役割とかは考えてなかったなあ。でも、キセキは違和感に気が付くのか得意だから、

注意深く周りを見ていてくれ。なんかおかしいと思ったら、すぐ教えてほしい」


「間違い探しだね。りょーかい」

良い返事だ。さすが、可愛い弟分。


「とりあえず悪そうなやつがいたらぶった切ればいいのね?」

メイが言った。


「……物騒なことを言うな。極力、戦闘は避けよう。できれば、目指すは無血開城だ」


「あんた、難しい言葉使うのね。〝血が騒ぐ〟って言葉、知らないの?」


「……多分、意味は違うと思うぞ。とにかく、できるだけ穏便にファングさんを救い出そう。

もしかしたらだけど、ダゴスたちも話せば分かってくれるかもしれない。ガンダルさんみたいに。ね?」

俺はガンダルを見た。


「……その可能性は薄いと思うがな。まあ、お前なら、あるいは」

ガンダルは言った。


──いつの間にか、ガンダルから一定の信頼をもらっていたようだ。


何だか大人に見とれられたみたいで、嬉しい。


「私は──足手まといになりそうだから、留守番していようかな」

アイネが言った。


「駄目だよ!……アイネ一人でなんて、心配で置いてけないよ」

俺はつい、言ってしまった。

そして周りがじーっと見つめる中、変な空気になる。


──俺は自分の顔が赤くなっていくのを感じた。


何故かアイネも、赤くなっている。


「これは俺たちの冒険なんだから、みんなで行こう!

みんなで作戦をやらなきゃ意味がないだろ!」


……まるで子どものような論法でごまかしてはみたものの、

エルデネとメイはにやにやしている。


ちくしょう、何かに──気が付きやがったな。


「出発は夜!キセキ、散歩にいくぞ!」

俺はそう言って無理やり弟分を連れて会議室を出た。


後ろは、振り返らない。


「ねえ、アラタ、顔が真っ赤だよ。熱でもあるの?」


──キセキの無邪気な一言が、俺の胸をえぐる。


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