第二十一話 ダゴスのやり口と、真実と。
「お兄さんが投獄されてるのに、おとなしくダゴスに従ってるってわけ?それでも騎士なの?」
メイは腰に手を当てたまま言った。
——やめてくれ。せっかく話がまとまりそうなのに、逆撫でするな。
「……従っているうちは、処刑はしないという話だ。
だが、逆らえば——殺すと言われている」
「酷い……」
アイネが、口を押さえた。
アイネの言う通り——ダゴスは、中々悪どいやり方をするようだ。
ガンダルは兄を人質にとられ、いいように使われているということか。
「お兄さん——ファングさんを救出できれば、ダゴスを追い出すことができそうですか?」
俺は聞いた。
ガンダルは、少し考える仕草をする。
「可能だろう。——同時に、パルファムはアーカーシャ帝国と敵対する形になるだろうがな。それでも、今の国よりはマシになるだろう」
「ファングさんは、帝国から選ばれたんじゃないんですか?」
もしそうだとすれば、帝国との繋がりがあるはずだ。
うまく交渉できる可能性もあるんじゃないか?
「兄貴——ファングは、民から選ばれた市長だ。
帝国から市長が送られてきたのは、ダゴスが初めてだ。
民からの人望の厚い兄貴が邪魔だったんだろう。
罪をでっち上げられ、投獄された。
兄貴は、今は逆らうな、時を待てと言って投獄されていった」
「その時が——来たってわけね」
メイが指を鳴らした。
「メイ、ちょっと黙っててくれ……。
ガンダルさん、あえて敵と呼びますが——ダゴス陣営、敵側の人数はどれくらいですか?」
戦うべき相手の戦力を把握するのは、戦の基本だ。
——まぁ、これも父さんの受け売りだけど。
「ダゴスとともにガリアから異動してきた側近が数人。
その中に——式術者がいる。青い髪のやつと、緑の髪のやつだ。どんな能力かは——知らん」
「レイン叔父さんとイエナ叔母さんだね」
キセキが言った。
「……あんなレベルはそうそういないだろ。
もし俺たちの知っている式術者と同じなら——能力は大体分かります。いずれにしても、先にファングさんを救出したほうがいいですね」
俺は言った。
「だが——どうやって?囚われている牢獄は見張りだらけだし、鍵がかけられている」
ガンダルは再び指を組んだ。
「簡単な鍵くらいなら開けられるけどな」
ラウルが、さらっとすごいことを言った。
……昔盗賊でもやってたのかよ。
「見張りの数次第ですが……そっちに式術者はいますか?」
「いないはずだ」
「なら、多分大丈夫です。
こっちには便利な式術者がいますんで。
な、エルデネ」
俺はそう言ってエルデネを見た。
「なーんかうまく使われそうだね。まあいっか。面白そうだし」
エルデネは笑って言った。
この女の行動基準は、面白そうかどうか。
長い付き合いでなんとなく分かってきた。
さて、ファング奪還作戦の開始だ。




