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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第三章 ブルドア国パルファム市

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第十九話 騎兵団長ガンダルと、父の教えと。

「わざわざそちらから出向いてくるとはな。手間が省けて助かる」

ガンダルは、剣を抜きながらこちらに向かってくる。

──後ろには、数十人の兵士が控えている。


前回とは訳が違う。


「──懲りない男ね。またやられたいの?」

メイが剣を抜きながら向かっていく。


俺はそれを引き留める。

「ちょ、ちょっと待てメイ」


俺は、ガンダルに向かって話をする。

ここで戦闘になったら──どちらかに怪我人──下手をすれば死者がでる。

できれば──話し合いで解決できないか。


「ガンダルさんでしたっけ。ちょっと色々聞きたいんですけど」

俺はできるだけ落ち着いた声で言った。


「──なんだ。見つけ次第捉えるように、ダゴス市長から言われている」


「そのダゴス市長についてと、式術者について聞きたいことがあって」


「話すことなどない」


「いやあ……それは困りますね。話ができないとなると……あれを放つしかないんですが」


俺は、言いながら空に浮かぶ極悪な火球を指さした。


エルデネに頼んだ──脅しだ。


ガンダルがそれを見た瞬間、ひるんだのが分かった。


「まず、話しましょうよ。話せばわかることもあるかもしれないし」


「……分かった。だが、展開次第ではすぐに斬りかかるぞ。俺たちは、命など惜しくはない」


……嘘つけ。

冷や汗をかいているのが、バレているぞ。


ガンダルは一旦剣をしまい、こちらにやってきた。

一定の距離を取りながら対峙する。


「貴様らは何者だ。ユルガン族に式術者など存在しないはずだ」


「ああ、そうですよね。俺たちは旅人なんです。ちょっと遠いところから」

俺は慎重に言葉を選びながら答える。


「式術者は、ランクC以上の国にしかいないはずだ。こんな辺境に──いるはずがない」


言いながら、ガンダルは自分を貶めたことに気づく。


「ランクC以上の国にはいるんですね。なるほど。そのあたりも教えてほしいんですが──

まず、ぶっちゃけダゴス市長についてどう思います?」


俺は、突っ込んだ質問をした。


「……どういう意味だ」


「パルファムは、ダゴス市長になる前は土地の接収などしていなかったはずです。

皆、納得して強引な接収をしていのかなと思って」


俺は、アイネの方を見る。

アイネは、その真っすぐな黒目を向けながら強く頷いた。


「……上司の命令だ。仕方ないだろう」


少し、ガンダルの目が泳ぐ。

騎兵団の矜持も、持ち合わせていそうだ。


「そもそも、ダゴス市長はなんでランクを上げたいんですか?」


「……ランクが上がれば、科学の恩恵が増えるから、と聞いた。

そうすれば、生活が豊かになると。

俺たちにはさっぱり分からないが──ランクCから来た市長が言っているんだ。

間違いないだろう」


「訳のわからないもののために、罪もない人々から土地を奪うんですか?」


俺は、まっすぐとガンダルの目を見据えながら言った。

ガンダルは、目を伏せる。


いける。もう少し。


こういう議論の進め方は──父さん仕込みだ。

小さい頃から、物事を考えるときに、必ず父さんに聞かれた。


〝どうしてそう思った?〟


〝アラタが相手ならどうする?〟


相手の立場で考えれば、自分の立場だけでは見えないものが見えてくる。


──それを、活かす時だ。



「ガンダル団長。騎兵団の使命はなんですか?」


「……民を危機や脅威から守り、街を守ることだ」


「ユルガン族は〝脅威〟なんですか?」


「いや……だが、抵抗するならば……脅威になりうる」


「なりますか?武器も持たない、遊牧民族ですよ?草原を旅しながら、自給自足を営む、平和的な人々です」


「うっ……」


「それを無理やり奪い取るというのは──騎兵団の精神に合ってるんですか?」


「……何が言いたい」


「つまり──元のパルファムに戻りませんかっていう話です」


「──お前、まさか」


「市長を追い出して、元のパルファムに戻す。

──ユルガン族との交易も元に戻り、騎兵団の皆様は誇りを持って働ける。

どうです?悪い話じゃないでしょ」


「……お前、何者だ」


「ただの旅人です。よろしければ、皆さんと話してきてください」


相手に判断の時間を与えるのは大事だ。

これも、父さんの教えだ。


勝ちすぎるのは良くない。

お互いが勝てる方法を見つけるのが、交渉だ、と。


──当時はめんどくさいと思っていた父さんの話が、

こんなところで役に立つとは思わなかった。


「分かった。少し時間をくれ」

そういうと、ガンダルは騎兵団の元へ戻って行った。


──あとは、良い判断をしてくれることを祈るばかりだ。


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